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珍機レビュー⑥ シングウ ベルカッターミニ S2105H+5 まさかの知能化ハンドヘルド。10年経ても最新鋭

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作業中、なんとなく昔のことを思い出すことがある。今日は、あー、あったなそんな
機械という感じで頭の中だけで終わらせるつもりだった。けれども、10年前に
レビュー記事を書いていたことまで思い出してしまったのだ。

直ぐに、作業の手を止め、当時のブログが残っていないか探してみる・・・あった。
恐らくこの機械の機種名ピンポイントで検索をかけなければ辿り着けないような所に、
ひっそりと残っていた。サイトは引っ越して、記事だけ生きてたというか。
なんとも感慨深いような、どうでもいいような・・・数秒考え込む。

うん。コレ放っておいたら、いずれ無くなるし、自分も忘れ去ってしまうだろう。
記録が無くなる前に、多少は人目につく所へ移しておくか。相変わらずの誰得記事だが
陽の当たらなかったモノを、後年になってから調べる事ほどしんどく不確実なものは無い。

『あったんだよぉ~。本当だよぉ~。』

とか、やっすい居酒屋で酔っ払いながら話したところで誰も信じない。
都市伝説にでも昇華でするのなら上出来もいいところ。そんな、おっさんの戯言で
終わらせないようにこのチャンスを生かさねば。所有している機体ではないが、類稀
なる珍機体であるなら何の問題も無い。紹介を始めるとするか。

敢えて以下は、10年前(08年3月29日)の記事ほぼそのままとしておく。
写真は、もっと撮っておくべきだっただろうか。最後に、当時の補足や現在感じる
ことなどを追加しておこう。それでは。


シングウ ベルカッターミニ S2105h+5 (エスにーいちまるごーえいちプラスファイブ)
マイコン野郎がやってきた.jpg

また刈払機ですが、これは林業機械の老舗、新宮商行の力作です。面白そうなので
借りてきました。(当時の職場から)なんと刈払機では世界初のマイコン制御!!
そして20ccクラスを超えたφ255mmの刈刃を装備。

スロットルが存在せず、このボタンで作業したい回転数をセットします。そして、
ハンドル右側にあるレバーを握れば、セットしたエンジン回転数まで自動的に回転が
上昇、あとは負荷が変化しても機械がセットした回転数を保ってくれます。レバーから
手を放せば、回転制御も解除され、アイドリングに戻ります。固定スロットルと
ファイントリガー(トリガー式スロットル)を足して2で割ったような独特の
操作感です。

s2105h+5操作部分.jpg

使用してみると、負荷が入ったときの回転落ちが通常機より少なく、本体の軽量さも
あいまって、狙った部分を短時間でキレイに刈ることが出来ました。設定回転は
低・中・高速の3段階。作業効率の良い回転域を保持する制御をしていると思われます。
なので、高回転にしても回りすぎることはなく音は比較的静か。この日は4サイクル
25ccの刈払機も使っていましたが、燃費もこちらと同等でした。

気になったのは、非常停止時ボタンを押すとバタフライバルブ(当時、キャブレタの
ロータリーバルブという意で書いたと思う)が開いたままエンジンが停止すること、
エンジン回転数がセット値まで達するのに意外と時間がかかったこと。
けれど、モーターとワイヤを使ってスロットル操作をしていることを考えると、目を
つぶらざるを得ない部分かもしれません。

ちなみに、バッテリーは搭載なし。エンジンで発電して、マイコンとモーターを駆動
しています。冬季の放置による電気的なトラブルの心配はあまりなさそうです。


あまり力んで回ることもなく、スーっと沢山仕事をして、メシもあまり食わないなんて
おくゆかしいやつですね。ただし、嫁にはできないのと、、2スト21ccの出力を
超えた仕事は当然出来ないことが惜しいです。もっと排気量のある機種でこの制御を
行った場合はどうなるのかにもとても興味が湧きました。


扱うコツが少ないので、高齢者や女性、長時間作業を行う人にも向いていると思います。
7万円近い価格を高いと見るか、安いとみるかは扱う方の考え方にもよるでしょうか。
とにかく、世界初にして間違いなく効果の感じ取れる機構でした。
 
 

とまあ、ここまでが10年前までの文面と。

 
レビューとしては、特に書き加えることも無さそうなな感じである。それでも、どの
ような機械だったのかについては解説を追加しておこう。ここから先は少々読むのが
面倒かもしれないが、どうか勘弁して欲しい。

まず、スロットルの開閉制御を電子化する理由から。
刈払い作業時の動作を考えてみると、竿を右から左へ振って草を刈る訳だ。草を刈る
際は、当然エンジンに負荷が加わり、負荷に応じて回転数は下がる。機械を振り終えると
今度は竿をまた右へ戻す。この動作中は基本的には無負荷となるので、その間にエンジン
はスロットル開度に応じた回転数(セット回転)へと復帰。そしてまた草を刈って・・・
という繰り返しになる。この、エンジン回転が下がるというのが場合によっては問題と
なる。例えば、草が密生していたり、竿を振る速度が必要以上に速かったりすると、当然
負荷が増す事になるので、エンジン回転数の落ち込みは大きくなる。すると、エンジン
出力の乗っているオイシイ回転域(パワーバンド)から大きく外れてしまったり、回転
数の復帰に時間がかかってしまったりすることになる。これでは効率的な作業が出来なく
なる上に、燃費が悪化したり、作業者の疲労が増したりと、ロクなことにならない。

この傾向は、発生トルクの細い小排気量の機種で顕著となる。それらをカバーする
ため、小排気量機ほど、高負荷時にエンジンを高速でブン回すような使い方になり
やすい。その理由としては単純である。機械から取り出せる仕事の大きさは、
エンジン回転数(N)とトルク(T)の積であり、出せるトルクが小さければ回転数を
上げる他に、作業に適した出力を得る方法が無いからだ。

さて、回転数を思い切り上げて草刈りをしてみれば直ぐに気付くことではあるのだが、
それはそれで、騒音や振動でで疲れたり、機械の消耗が必要以上に進んだり、作業中の
危険が増すなど、様々な問題を伴う。
では、トルクの太い大排気量機なら良いではないかって?それも道理には違いない。
しかし、それらは重いので一般的には敬遠され勝ちであり、構造も重厚になってくる
事から、価格もそれ相応となる。こうなると主にプロユースでしか選ばれない。
機械のほうがユーザーを選んでしまうような格好では、その恩恵を受けられる相手も
少なくて然り。

いずれにせよ、どんな機体でも回転落ちが避けられぬならば、それを見越して
スロットルを操作出来ればよいではないかという話になってくる訳だが、何百何千回と
竿を振って草を刈るような状況の中で、負荷が入る都度、瞬間的に適切なスロットル
ワークを行える人がいたら、それはもう常人とは呼べない。仮に一時的には出来たと
しても、恐らく集中力が続くまい。

だが、本機のように【電子ガバナ】が搭載されていれば、負荷による回転変動が
少なくなり、作業効率が向上するのである。レビューにも書いた通り、まさにそれを
この機体が示していた。また、小排気量のほうが、オペレータへその恩恵も伝わり易い
という事をメーカーは流石に良く知っていたのだろう。【+5シリーズ】が展開されるに
際し、最初に電子制御を搭載したのは、この21ccモデルだったのだ。

電子ガバナを採用する上で理想的と考えられるレイアウトは、キャブレターのスロットル
バルブ近傍にステップモーターを配置し、ダイレクトにスロットル開度の制御を行う
方式だが、いかんせん刈払機ではそれを実現させてたくとも小さ過ぎたのだろう。
竿(操作桿)の横にマイコンとモーターを内蔵した箱を配置し、そこからワイヤーで
スロットル操作をする格好になっている。
しかし、使ってゆくうちにワイヤーが伸びたり、渋くなったらどうなるか・・・
やはり、出来るならダイレクトマウントの方がトラブルフリーだとは思うが、これは
現在でも七万円で作ろうとするなら実現は難しい所だろうか。

ところで、この機種、何の信号を制御用に検出していたのか不明。当時何故バラし
ておかなかったのかと少々後悔している。回転数設定が三段階という大雑把な分け方な
時点で、特定の回転域のみで制御を行えば良いという割り切りが見えることから、
そこまで高度なものではないとは推測が出来るが、せめてスロットル開度以外に点火
時期まで制御していたのかどうか位は確認しておくべきだった。

閑話休題、他にも気になるところはあるのだが、特にいただけない点は非常停止スイッチ
を使用した後の再始動である。過去のレビューでは、当時発表直後の最新鋭機であり、
肝入りで開発され、まさに今ここからという所へ水を差すような真似をしたくなかった
為、具体的な挙動を書かず、言葉を濁していたのだが、10年が経過した現在では
レビュー云々よりも考察という点に重きを置いている事もある。何が起こるのかを
以下、正直且つ簡潔に書いておく。

【エンジン非常停止後、再始動する際は、エンジンが思い切りフケ上がり、刈刃も回る。
その後、漸く時間をかけてアイドリング回転まで下がる】

非常停止スイッチを押すと、回転数制御そのものも停止してしまうらしく、押した
時点でのスロットル開度を保持したままとなる。設定回転数を【高】の位置に設定した
ままでの再始動が最も危険なのは言うまでも無い。

この非常停止ボタンは、配置からして非常時でなくてもエンジンキルスイッチとして
使われるだろうことは想像に難くない。
エンジン停止の際に、スロットルトリガー(マイコン制御オンレバー)から手を離して
回転数がアイドリングに落ちるまで待ち、そこから停止ボタンを押すような律儀且つ
理解力の高いオペレータなど、理由が説明書に記載してあってもそうは現れないだろう。

それに加え、スロットルバルブが全閉になるのにも数秒かかる構造。手でスロットルを
戻す場合よりも、モーターとワイヤーを介しての方が圧倒的に遅いのである。
つまり、本機は作業効率の改善と引き換えに、非常時及び始動時の安全性を
低下させてしまったと言える。志の高い製品故に、これは本当に惜しいところである。
それでも作業中は本当に楽だった。1クラス上の仕事をしてくれるのに軽量なのだから。

とにもかくにも、【+5】というのは、あたかも排気量面で上位にあたる機種と同じ
だけの仕事とフィーリングを提供してくれるという、作り手の自信がよく現れていた
フレーズだなと思う。


やりようでは、まだまだ伸び代のありそうなアプローチの機体であったが、残念ながら
後継モデルは作られなかった。現在、似たようなものを作るのなら、コントロール
ボックスの代わりにスマホをくっつけられるようにして、アプリで制御とかそんな
感じでも面白そうな気がする。

いや・・・その前に電動化の流れが来てしまうかな。
 
 
他の珍機群は以下。だんだんボリュームが出てきた・・・
 
 
レビュー⑤ 【刈丸UM17 草刈機】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-749.php
 

レビュー④ ホンダUM-T12 刈丸(前編)
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-703.php

                 (後編)
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-718.php
 
レビュー③【F110 ミニこまめ 耕耘機】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/f110.php#more
 
レビュー②【新ダイワ RM451 山林用刈払機】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-612.php
 
レビュー①【イリノME27B-NC 逆回転刈払機】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-380.php
 

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