#93 水

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束の間の晴れ。今日もひたすら排水溝の復帰作業。


なにしろ、この有様では田んぼの水が抜けるはずもない。
稲刈りには絶好の天気でも、ここを片付けなければ刈れない。

そして、来週は雨ばかりの予報。
台風もまた近づいている。


大変でも、なんとかしなければ。


また掘るしかないのか・・・.jpg


春からずっと、掘る系の作業が多い。
この構図で撮影するのも随分慣れた。・・・というか飽きた。

まず、排水溝の上に繁茂している雑草、を根っこごとひたすらむしり取る。
マット状に広がっている草の場合は、両側面をエンピで差しておいてから
丸めるようにしてはぐと早いことが判った。


そして、その下にある泥をすくい取っては、田んぼ側によそう。
とにかく、田面よりも下にまで、排水溝の位置を下げる必要があるので
掘る泥の量は多くなる。掘った溝の総延長は100m以上。


何も作付けしていない緩衝帯の部分には、上の田んぼからの清水も常に流れ込んで
くるので、緩衝帯を横切るように溝を堀り足し、排水溝とつなげる作業も行った。
こうすることで、田んぼ側から入り込んで落ちていた水の流れをバイパスさせる
ことが出来る。


最近この構図が多い.jpg

なんとか勢い良く水が落ちるようになって一息つく。
この先の雨で、溝が埋まらないよう祈る。


今日は、久々にイモリを発見。他にカエルやドジョウも湿地の中でたくさん暮らして
いたので、彼らには少々申し訳ない気持ち。
来年も、緩衝帯として沼地部分を設けておきたい。それで、今日掘った部分には
暗渠をしておけばいいだろう。


帰り際、早く刈りたい気持ちがつのる。

いい景色ですな.jpg


コメはどんな感じだろうかと、一粒むしり、モミを外して口に入れてみる。
これがとても甘くて、生でも平気で食えたので驚いた。

思えば、この田んぼ、農業用水のバルブを開いた記憶がほとんどない。
上の田んぼと、山からの清水が入ってくるので使用する必要がないのだ。
更に、緩衝帯からゆっくりと水が入るので水温も高く、イネの生育には最適だろう。


そもそも、谷津田のコメが美味いと言われる所以は、《水》 なのだという。
農業用水よりも、山から染み出てくる水を利用したほうが美味いと、この土地の人
ならば10人中10人が答えるはずだ。


ちなみに、用水路にはその山の水が流れているが、直接田んぼには導入できない。
落差を大きく取り、田んぼの水を落とす排水溝としてのみ現在は機能している。
これでは、周辺生態を単調なものに変化させる上に、エネルギ的にも損失が多いと
言わざるを得ない。

まるで、鯨を仕留めて油だけ取り、残りは捨てているのと同じではないか。
イネを栽培するためだけに、好きなだけ水を引くという考えには凄まじい抵抗を覚える。


尤も、その用水が流れる過程では、やはり農薬や除草剤も混じってしまうので、
利用価値は下の田んぼに行けば下がってしまう。
慣行栽培を行う前提である以上、やはり山の水は使うに値しない。


土地には土地に合った栽培方法というものがある。
けれども、土地改良の方向性というものは、そこまで柔軟でもない。

土地の特性上、ここは集約管理が徹底しきれず、古来からの苦労が打破出来なかった
田んぼなのだろう。

人の都合ばかり優先させた結果が、かくも中途半端なものとは、どうにもやるせない。
だからと言って、土地を見捨てる道理も何処にも見当たらない。

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