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珍機レビュー⑤ ホンダ刈丸 UM17 汎用ノスタルジア最終回

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これで三連続となるホンダ製の機種。ホンダばかりになって申し訳ないのだが・・・。
(珍機なのだから贔屓しても意味が無いとも言えるが、なんとも言えない)
もう白状してしまおう。前回・前々回の機種及び今回の機種とも、実は昨年同時期に
同じところから入手したものであった。そして、使用可能な状態にまで整備を行った順に
紹介してきたという訳だ。なので、ホンダ珍機祭りもここで一応落ち着くことになる。

しかし、自分のところは農家としては異常と言える程にホンダが多いのも事実。
これも、もうどうでも良い話になってきたので、ついでに白状してしまうと、私は以前
ホンダの研究所(汎用部門に11年弱)に勤め、汎用エンジンや農機、電動車いすなどの
研究開発をしていた。それで、農業を始めるにあたり勝手の知れた機械を買い求める
ことになる。当初は二台だけだったが、なんだかんだで探してもいないのに、どこから
ともなく手元に機械が集まるようになった。不思議なことに、本当に勝手にうちへホンダ
の機械が集うようにしてやってくる。そして今や実動のものが10機、整備待ちが三台と
いう手持ちの農機類の中で最大勢力となる。(二位は新ダイワで総数6機。エンジン
まで含めれば、三菱が6機でタイ。)
ホンダ機のうち、純粋に購入したものは新車一台、中古一台のみ。どうしてこうなった
のか。そして、10年以下の若い機体は二機だけ。残りは20代後半から30代。
アイツ等は格納庫で毎日同窓会でもしてるつもりなのか。趣味の車や単車まで手が
回らなくなる筈である。いい加減、農機と軽トラ以外の機械を触りたい。

 

相変わらず前置きが長くなって申し訳ないが、これで少しは一連の記事に関して
読者の方々のモヤモヤも無くなるのではないかと思う。それでは始めよう。
 

ホンダUM17.とてつもなくスタイリッシュな草刈り機である。1985年静。
そして、あろうことかまたしても新車。だが、試運転を一度だけ行ったそうで、そのまま
眠り続けた結果、キャブレターが再生不能に。UM17用純正キャブレターは欠品だった
ものの、搭載エンジンが共通のHP250(力丸:運搬車)用のものは供給可であった
ため、そちらを使用して事無きを得る。

20170516_110243-1.jpg
 

それにしても無骨さが無い。左右対称デザインのバーチカルエンジン(GV100)と
ひときわ目を引く8インチのコムキャストホイールの寄与するところが大きいようだ。
また、それなりに幅のあるカッターデッキを低く構えている筈なのだが、スリムさが
際立っているのも大きな特徴。それでいて安定感もしっかりしている。タイヤの高さと
エンジンのファンカバーとの面がほぼ揃っており、同時に大径ホイールもカッターデッキ
の外側と同じ位置に収めてあるのがミソ。後輪ピボットをかすめ、車体の重心位置へと
スッと伸びるように繋がれたステアリングパイプも、極めてスマートな処理。これらは、
つまりマスの集中化を強調し、視覚的にも軽快感を与えるまとめ方。運動性能を高く
見せるデザインとなると最早、考え方が単車やスポーツカーと同じになってくるが、
そもそも作業機というものは色気もクソも無い機能部品のみの集合体。そこへ更に、
飽くまでも様々な作業機に搭載するために用意された汎用エンジンが無造作に積まれて
完成というのが当たり前の世界なのだ。そういった目的特化型の機械類は、機能美を
見せることはあっても、たいがいそれ以上を得るには至らないものだ。当然、本機自体も
機能部品のみで構成されており、エクステリア向上目的で装着されるような部品は一切
存在しない。にも拘わらず、ここまでのスタイリングを実現させるというのは、決して
生半可なセンスでは成し得ない。これだけ整然と用途を体現しつつ、洒落っ気、そして
軽快さまで利いている。
本機の重量は30Kgと実際に軽く、一人で軽トラに載せるのは簡単。

全体的な印象は、70~80年代のSFアニメか何かに出てくる宇宙船のようでもある。
現在も尚非常に斬新且つ均整の取れた良デザインだと思うが、その宇宙船っぽさ故に
【今見ても古さを感じない】などそういった月並みな表現は個人的に控えたい。
 
 
20170531_185826.jpg
 
反対側からのカット。ピンボケで申し訳ない。
ゴム製のディフレクターからも判る通り、右側に刈草を吐き出す仕様。
 
 
裏側はこのように。
ブレード(刈刃)とは別に、効率よく刈り草を放出するためのフィンが装備されている
のが特徴。(ブレードに直行する黄色っぽい羽根のような部分)これが、かなりの
威力を発揮する。
 
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それにしても、裏側がこんなにも眩しいとは。
一度でも使用すると、どんなに洗っても磨いてもこの状態には戻らない。よく拝んで
おこう。何せ、使わなければレビューは書けないし、その後に再び格納庫のコヤシに
する訳にもゆかないもので。


ところで、使えば当然土煙や雑草の破片が激しく舞い散ることになる。そこで
当機種、塵埃対策も入念になっている。
 
20170531_162631.jpg

点前にある円筒状の凝った形状のエアインテーク部分と、車体側にある三角形の折り
返し(気流を曲げ、大まかな遺物を落下させて除去する機能がある)それらを繋ぐ
コルゲートチューブの三点でシュノーケルが構成されている。機体本体とハンドル
パイプの接合部分を三角の樹脂部品で覆い隠すなど、機構を確保しつつもスマートさを
演出するなど飽くまでコンシューマー向けの用途であることを主張するような処理が徹底されている。
こういうものを見ると、農機具の商品性とは何なのかを改めて考えさせられる。
 
 
操作系は、前回紹介したUM-T12との共通点が多い。

20170531_162650.jpg
 
左のレバーが刈刃の回転。右のレバーが前進。尚、手押し式のPJタイプだと
刈刃レバーのみとなる。

 
スロットルレバーは、ハンドルパイプ上に設置されている。
 
20170531_163714.jpg
 
因みに、エンジン回転数は刈刃レバーを握りこんでいなければ、いくらスロットルを
動かしてもアイドリング状態のまま。こちらも時代の先を見越した安全設計である。
 
 
そして、カッターデッキには、刈り刃カバー開閉ギミックが。

 
20170531_163719.jpg
 
こちらが展開前。
 
20170531_163757.jpg
 
 
展開後。
 
20170531_163746.jpg
 
刈る場所や草の丈に合わせ、手元からこのようにカバーを可変可能な親切設計。

 

使ってみると、なかなか良い具合。
適度な刈り幅は、畑の周囲などを刈るのに調度良い。
 
20170531_162535.jpg
 
背の高い草などは、オペレーターから見て右側へサッサッと寄せるように掃き出して
くれる。刈った横を右旋回で往復してくると、刈り終わった中央部に集草出来る。
圃場から、刈った草を集めて持ち出す場合などは、この機能が非常に生きる。
 
 
忘れていた。刈高さの調整は前輪のこの部分で。

 
20170531_165247.jpg 
 
前輪ステーのピボットは上下二個所。上部はピンの抜き差しで行う。下側は通常のボルトとナットにて固定。穴の数からすると、かなり細かく調整可能だが、いかんせん状況に
応じて細やかに調整をしようと思うなら、それなりの煩雑さが伴う。
今回は面倒なので上部ピンのみ調整し、一番高くなる位置のみでレビューを書く。
 

写真左から【刈る前・刈った後・吐き出された草】
  
20170531_163257.jpg
 
刈った草をその場にあまり散らさず、キレイに寄せている様子が良く解るかと思う。
これは紛れもなく、先述した放出フィンの効果である。
掃き出した草の下に刈りたい草がある、刈り草を細かくしたい、いずれの場合も往復
してくれば良い。だが、機械への負荷は増すことになる。刈り草を満遍なく散らしたい
のならというなら違うタイプのモアーを使用する方が良いだろう。排出フィンを取り
外して、空いた部分にスペーサーを噛ませるという方法でもいけるとは思うが、改造は
推奨しない。行うのなら、何があっても自己責任で。

  
試運転は畑で行っていた。使い勝手の検証にはちょうど良いので、マルチのキワを
通してみる。
  
20170531_163823.jpg
 
これは申し分なし。圧倒的に刈払機よりも楽で精度も高く、キレイな仕上がりだ。 
 
  
既になかなか使えそうなヤツだというのは見えてきたが、出力はどうだろう。
腰以上の高さ且つ密生した雑草で、本格的に負荷をかけてみよう。
 
20170531_164714.jpg
 
あれ・・・思っていたよりやるじゃないか。 
 
20170531_165318.jpg
 
圃場を周回する格好で、同方向に二度通してみたが、いずれも普通に奥まで走れた。
途中、地面から盛り上がる程に株の大きくなったカヤの生えていた所以外は、本機を
ウィリーさせる必要も無かった。
排気量は100cc弱だが、UM-T12とは違い粘り強い4サイクル(GV100)は
明らかにトルクが太く感じられる。ここまでの仕事をさせる前提で刈り幅を決めたと
仮定すると、あらためてかなり緻密な設計が施された機体だと言える。
そういえば、同じエンジンを積むHP250は、積載量の倍近くまで積んでも平然と
走ったしし、若干排気量は小さいが同系統のエンジンであるF200/210こまめも
現行こまめより明らかにトルク感が強い。今や旧態然としたME系のサイドバルブ
エンジンとは言え、カタログスペックに現れない底力を持っているようだ。
そして燃費もすこぶる良好。
  

この畑には土手がある。もうちょっと無理させてみよう。
 
20170531_164340.jpg
 
写真の傾斜で直進させるには、右にこれだけ車体を捻る必要があった。途中でタイヤの
溝は泥が完全に詰まり、激しくスリップするが、それでも確実に前進してゆく。この
写真だと解り辛いとは思うが、ここは結構な傾斜。大径ホイールの恩恵は凹凸地走破性
だけにとどまらない。

おいお前さん、そんなに無理しなくていいんだぞ。意地悪してるだけなんだから。
もう、こんな所で使わないから。
 
 
一通り試し運転が終わる。
  
20170531_165234.jpg
 
小一時間も使わずにご覧の有様。誰がどう見ても、既に新車では無い。
流麗な機体なので、今後も出来るだけキレイに使いたいとは思うが・・・正直自信が
無くなってくる。

 
総評

【泥臭くない、リゾート地のプリンス】

容姿・性能ともに卓越した文句なしの色男。家柄も良い。尚且つ根性までありやがる。
ムカつく程に欠点が少ない。そしてコイツの似合う場所は別荘地やホテルの庭だろう。
例え草の無い場所であっても、そうだな、プールサイドやウッドデッキの上に置いて
あっても絵になる位だ。でも野良仕事も大好き。こんな奴がいたらモテるに決まってる。

同じホンダから生まれた同年代の車、CR-Xのキャッチコピー

『デザインは性能だ』

をまんま当てはめて良い製品だと思う。
・・・コレ、同じものをまた売っても良いのでは?
 
 
レビュー④ ホンダUM-T12 刈丸(前編)
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-703.php

                 (後編)
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-718.php
 
レビュー③【F110 ミニこまめ 耕耘機】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/f110.php#more
 
レビュー②【新ダイワ RM451 山林用刈払機】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-612.php
 
レビュー①【イリノME27B-NC 逆回転刈払機】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-380.php
 

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