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切り株と親知らず

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日が落ちる頃は、作業も少し落ち着いて手すきになることが多い。
そんな時は、チマチマと進められる事をしておくに限る。
 
で、この根っこでも掘るか。

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前回に、あらかた掘り返し、縦に切断までしておいたので、あと少し頑張れば
抜くことが出来そうだ。
しかし、大きな切り株を細かくして少しずつ抜くという作業が何かに似ている気がして
作業中ずっとそれが頭の中で引っかかる。

・・・そうか、これ、自分の親知らずを抜いた時と似ているのか。

父親に似て、とても狭い顎に、母親譲りの大きな歯が生えてきてしまった自分は、
幼いころから歯並びが悪く、小学生の低学年の頃から歯列矯正を余儀なくされていた。
あまりにも状態が悪かったため、かかりつけ医師のはからいで当時はなかなか入会
することの出来ない日本でも指折りの矯正歯科に通っていたのだが、高校三年生に
なったころ、その矯正歯科ですら君の親知らずは手に余るということで、親知らずの
抜歯のためまた別の歯科を紹介された。
そもそも、腕の良い歯科医から紹介された屈指の治療レベルを誇る歯科から更に別の
歯科を紹介される程の酷さ。あそこなら大丈夫だからと言われても、どうにも不安
だった。そして、出向いた先の歯科で抜歯方法の説明を受けて愕然とするのである。

下顎の親知らずを抜く方法を簡単に説明すると以下になる。(うろ覚え)

奥歯の更に奥の歯ぐきからエラの辺りまで切開する → アゴの骨を大胆に削る
(親知らずを抜いた後も、歯並び的にクリアランスが足りないため、空間を確保する)
 → 親知らずに切り込みを入れる → 思い切り叩いて縦に割る(四分割)→ 
再度アゴの骨を削って仕上げる。 切開した部分を縫合 → 一週間と少し後に抜糸
 → 今度は反対側の親知らずで全く同じ工程を繰り返す
 
そもそも、麻酔が効いていても口の中には血が溺れる程に溢れ返って息苦しい。自分の
血が生臭くてしかも不味い。そして、アゴの骨を削る際の荒々しい振動が凄まじい。
使用されている道具は、虫歯の治療用リューターよりも明らかに回転数が低く、砥石も
粗いのだ。振動は直に脳天へと伝わり、まるで内側から脳ミソを焼かれているかの
ような感覚。そして、小さなノミとハンマーのようなもので歯を叩き割られる時の
衝撃も激しい。アゴの部分だけが飛び降り自殺して地面に叩きつけられているような
感じとでも言うか、それが連続で何十回も。そのインパルスは、またもや脳天へも達し、
その事実を無慈悲に伝えてくる。それを認識する都度に、失神しそうになった。
振動・衝撃・痛み、どれを取ってみても骨折や顔面の殴打・深い切り傷・生爪を剥がす
・自転車の後輪スポークに足を巻き込まれるなど、通常考えうる範囲で経験したことの
ある痛みとは全く異質の不快さである。そして、手術が終わって安堵するも、数日すると
縫合部が激しく化膿。そして抜糸前に破裂。口の中で膿がドバドバ出るのは最悪だ。
そんなものの味など一生知らずにいたかった。

そんな訳で、生涯忘れようもない経験なのであるが、あれから二十年以上が経った現在、
もうそんな派手な治療も行われていないのだろうか。

流石に話が脱線し過ぎた。
とにかく、切り株の周囲をこれでもかと広く深く折り返した後に、チェンソーで分割し
スコップに蹴りを入れながら少しずつ根っこを切断しながら抜いてゆくという一連の
作業が、それとモロに被ると言いたかった。
 
今回は三分割。一つ目は既に抜き取って焼却済み。
残りはこの二つ。小さいほうでも推定30kg。大きいのを穴から一人で引きずり出す
のは地味に大変だった。

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因みに、切り株や根っこは重くて組織も緻密なので、焼いてみると火の持ちが非常に
良い。また往々にして香りも強い。樹種によってはポキポキ折って芳香剤代わりに使え
たりすることがある。
 
 
抜根が済んだので、速やかに埋め戻そう。
 
20170530_181749.jpg
 
これもまた、地味にしんどい。
ただ掘るだけなら慣れたものだが、埋め戻すのはあまり得意でないらしい。
そして掘る方が楽しい。土をただ埋め戻すのはなんだか面白さを感じない。
かといって埋めたいものも特にはない。

この穴は人間一人埋めることなど余裕。
そうだ、きっと埋めるというと産業廃棄物とか死体だとか、あんまり良いものを連想
出来ない自分の頭が一番よろしくない。面白くなるようにしなければ。
とかなんとか難しく考える必要も本来ないハズなのだが・・・埋めるなら、素直に
タイムカプセルとかを想像出来れば良いだけなのに、面白くないのは作業ではなく
自分の思考回路であったようだ。

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