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珍機レビュー④ ホンダ刈丸 UM-T12 前編 【30年ぶりの目覚め】

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後編はこちら
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不定期ながら、昨年からどうにかネタが出てくる当レビュー。
前回に続いて、またのホンダ製品となる。そして古いときた。昔のホンダはネタに事欠かない
のも特徴(先進的かつ変態的、そして不発になったな機種が目白押し)なのである。
しかし、それがまったく誰の参考になるのやら。とかく毎回需要無視だが、せめて読み応えの
あるものにしようと考え、前後篇に分けることにした。

前編は、とりあえず動くようにするまでのプロセスを簡単に説明。要は軽い整備の記録として。
後編は使用レビューと、本機体が出現した時代背景を踏まえながら、コレが一体どのような製品
だったのかを、自分なりに検証してゆこう。

 
 
今回のものはこれまで紹介した珍機の中でも、様々な意味で別格かもしれない。
今でこそ一般的なスパイダーモアの元祖とも呼べる製品だからである。本機の登場は1985年。
『よく当時にこんな物を思いついて、しっかり作れたな。』 初めてコレを見た際、素直にそう感じた。

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たまたまというか、縁あってというか、少し複雑な事情はあるのだが、ほぼ新品状態のものを
無償で入手することになってしまった。入手までの具体的ないきさつは、先方への配慮もある
ので載せることはない。それはもうありがたいことではあるのだが、あまり晴れやかとも言え
ない心境である。とにかく、譲渡してくれた方の心意気に、最大の敬意と感謝を込め、文章を
書いている(つもり)。そして、製品自体も日頃からしっかり使用して正当に評価するところまで
行って仕上げとなる。

写真手前の機体は、デモンストレーション用として、数回使用の後にお蔵入り。そのまま30年
以上惰眠をむさぼっていた。要するに30年落ちの新古車。写真奥は、組み立てただけのまま
一度もエンジンに火を入れることもなく、前者同様に寝かされていた、正真正銘の新車。
従って、使用歴のあるほうを用いてレビューを書き、以降は仕事の道具として普通に使用する。
新車は、部品確保用としてひたすら現状維持とする算段。特殊な上に古すぎるので、譲渡は
考えていない。なにしろ、もうメーカーからはブレードの一枚すらも部品が出ない。
売った先でメンテや修理に困るのが目に見えているのなら、敢えて出さずに自らいたわりながら
使うほうが賢明だという判断である。
 

で、純正工具と説明書もあったりなんかする。
埃まみれの袋を破って取り出す時は、少しドキドキした。
 
20170116_105418.jpg
 
さてと・・・30年も放置したとなると、そしてキャブレター/燃料タンク内には当時のガソリンが
入ったままだ。各部の点検も兼ねて、キャブレター掃除をはじめよう。
 
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燃料タンク一体型のカバーを外すと、リコイル本体とファンカバーが現れる。どちらも埃が堆積
していたり表面が少々錆びたりくすんだりしているが、機能上は問題が無い。エアクリーナー
エレメントは、スポンジ部分が劣化して崩れ去ってから久しいようだが、試運転レベルならば、
それが無くても構わないので、エアクリーナボックスの掃除のみにとどめておく。


インテークマニホールドを取り外したところ。

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チョークレバーはスムーズに動作するが、スロットルバルブは少々渋い。溜まったまま固まった
埃が悪さをしているのか、それともガム状になったガソリンがシャフトにこびりついているのか。
コック前後にある燃料チューブは硬化が激しく、ポキポキと折れたので、汎用の耐油チューブに
交換しておいた。

 
パッキン類が再利用出きるよう、慎重にそのままキャブレターの取り外しを続行。
フロートチャンバーを開けてみる
 
20170116_102711.jpg
 
ん、放置年数の割りにはキレイなものだ。もっと、もっともっとベトベトでどうしようも無い状態を
覚悟していたが、溜まっていたガソリンは、ドロドロとは言え、未だ完全に粘着するような事は
無く、辛うじて液状を保っていた。これなら、比較的清掃も容易。
日が当たらない上に、湿度も低い屋内での保管というのは、燃料の劣化も遅くなるらしい。
加えて、オイル分のある混合油が残留したことで、ある程度部品自体が劣化から免れた事も
考えられる。これなら、割と簡単にエンジンも始動できるかもしれない。
 
フロートより下に、樹脂製のバッフルプレートらしきものが装備されている。フロート式のままで
急傾斜での動作を安定(油面を確保)させようという配慮だろうか。フロートバルブ/フロート
チャンバーのOリングともに、問題は無し。フロートチャンバーそのものは、かなり汚れが酷かった
ので、泡状キャブクリーナーに浸して掃除。 エアベントチューブや、パイロットエアスクリュー
通路など、メインボア周辺からキャブレター内部に通じている穴という穴も同時に清掃するのは
お約束。
 
 
メインジェット/エマルジョンチューブを外して清掃。
 
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ガムによるジェット穴の閉塞は軽微。すぐに太めのジェットリーマが通せたので、ケミカルによる
洗浄も最小限で済んだ。エマルジョンチューブ自体は固着も無く、塞がった穴も見辺らなかった
が、念のため洗浄をしておいた。
因みに、泡状のキャブクリーナは往々にして強力だが、反面、金属を溶かす能力も高い場合が
多い。よって、汚れの酷い部品を漬け置きで洗浄するような場合は特に注意が必要だ。
漬け置き時間が長いと、腐食防止の表面処理が失われたり、ジェット類の穴径が変化してしまう
事がある。前者が発生すると、放置中に短時間でキャブレター内部が派手に錆びついたり、
後者では、どうやってもキャブレターのセッティング(燃調)が合わせられなくなり、エンジンの
不調を招く。漬け置き時間は、長くても10分程度で止めておき、取り出した後は速やかに
アルコールやフロン系の脱脂剤、ないしは灯油などを使用してキャブクリーナ成分を流しておく
事も忘れずに。


おっと、点火が正常かどうかを確認し忘れていた。本当はこちらの方をキャブレターの清掃より
先に行うべきなのだが。同時に、フライホイールの点火用マグネットが錆びたりしていないか
確認するために、シリンダ側のシュラウドも外してみる。プラグキャップは、やたらと固くなって
いて、なかなか外れなかった。
 
20170116_110020.jpg
 
なんというか、この構造のエンジンがとても懐かしい。要するに、2サイクルが主流だった
時代の原付のエンジンそのもの。この手のは、ポート加工やらヘッド面研など、チューニングが
しやすいので見るとどうしても昔の気持ちが蘇ってくる。耐久性を犠牲にせず、フィーリングや
燃費が向上するようになら、そのうち少々いじくっても構わないかな。
マグネット・トラマグ(ピックアップ/点火コイル一体型ユニット)共に正常。点火も問題なしだが、
なんとなくプラグだけは交換しておいた。別に高いものでもないし。

もしも、フライホイールのマグネットや、点火のピックアップ部分に錆びが発生している場合は、
ワイヤーブラシやサンドペーパーなどで錆を取り除いてやる。火花が飛ばなくなる原因というのは
意外とこれらが多い。尚、錆を除去した後は、クリアランス0.45~0.5mm程度(名刺二つ折り)
程度でマグネットとピックアップ間を調整しておく事。トラマグに関しては、複数の汎用エンジンで
同一部品を使用している事も多いため、廃品の汎用エンジンが転がっていたら、とりあえず
外してストックしておくのも良い。
  

以上まで済んだところで、とりあえず始動するようになっただろうと高をくくり、元通りに組む。
案の定・始動・エンジンの調速(ガバナ動作)に問題が無いので。そのまま40分ほどアイドリング
で馴らし運転。前進・後退動作・刈刃クラッチも正常に動作するので、とりあえず試運転。

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時期的に、枯れ草ばかりを刈ることになるが、どうやら普通に使える。
傾斜地での操作は、少々慣れないといけない感じもする。
 
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現状・これで動作するようになった訳だ。しかし、そのまま使うのではなく、ワイヤーの注油や
ブレードの研磨などを入念に行って、【可能な限り新車時と同じ状態】まで整備を進める。
実際、そこまでやっておいたほうが長く使えるだろう。

それを済ませた上で、色々な条件の所へ持って行き、使い込んでみてレビューを書くことにしよう。

今回の前編が、なんというかレビューになっていなくて申し訳無くも思うが、まあ、簡単な農機の
修理プロセスを見せるのも、たまには良いものかなぁと。
 
後編はこちら
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