農産物の行方

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今日は、引っ越してから初となる田植え。
苗の出来が甘かったせいもあり、途中から苗の装填不良や欠㈱などがチョコチョコ出たものの
まあ首尾よく出来たのではないかと思う。でも、写真を撮っていない。
我ながら、何で撮らないんだよという感じもしなくはないが、田植えネタなんて別にもう
書くこともないようにも感じる。毎年似たようなことをしているだけだし。三年近くブランクが
あったとしても、もうこのブログだって八年目である。田植え記事が見たければ、過去ログか
余所の方の記事を探してください。おそらく星の数ほど出てくることでしょう。

そこで、天邪鬼な私はPCにある写真を漁り始めた・・・結果、なんとも思い出したくない写真が
出てきた。これは、、ネタにしろということなのか。
この間、食品残渣の話を少し書いた際に、敢えて写真をアップしなかったというのに
再開してからというもの、自分のスタンスがどうも見えてこない。
というよりか、ブログなのだから、もう好きなようにすればいいか。
 
これは、廃棄食品の一例。
〇〇〇バリュー商品でおなじみのあのでっかいショッピングモールのオリーブオイル。

IMG_0271.JPG
 
廃棄理由は、ラベルのインクが滲んでいた。ただそれだけ。
これが何トンも処理工場に入ってきていた際の写真。
〇〇〇を非難するつもりもないのだが、ただひたすらに無念な気持ちと、どうすることも出来ない
脱力感を覚えたので、せめてのものと思ってケータイで撮影をした。

山積みのペットボトルを一本一本開けては大きなコンテナに、一日中これを流し込んでいる
人たちを横目に見ながら、自分はメタン発酵の前段階である貯留層へ、材料を投入していた。
材料は、確かおから80Kg、カット野菜80Kg・米80Kg・マヨネーズ20Kg、これをグチャグチャに
混ぜ合わせたもの。そこへ適度に加水を行い流動性を確保する。、
それら材料は、発酵槽へ投入する前に貯留槽のカッターポンプを起動してしばらく循環運転を
行うことで次第に粗大なものが少なくなる。これは、パイプの目詰まりなどのトラブルが出づらく
なると同時に、貯留しておくことで乳酸菌などによる一時発酵が進み、メタン発酵菌がアタック
しやすい状態にさせるという効果がある。
 
しかしまあ、それはそれで置いておいてだ

 
なんでわざわざ人間が食うためのものを液肥にせにゃならんのだ。
そして、一時期の自分は食欲がどんどん減退し、コンビニ弁当などは大嫌いになった。
店内に入っても、全てが廃棄物に見えるほどに。最終的にはそれも克服して、発酵槽の
真横でコンビニ弁当を食えるようになったが。だからといって別に喜ばしいことでもない。

どこまでもどこまでも心が痛む。
自分は生産者でありながら、廃棄物が出続けることを肯定するような仕事をしている。
いてもたってもいられなくなり、フェイスブックに以下の文章を投げた。
ブログに載せるには、当時どうも気が引けたからである。
(ほぼ原文ままなので、興味がある方だけ読んでくれれば構いません)


農産物の本来向かう先でない結末、見たことがあるでしょうか?

賞味期限も過ぎていないのに産廃扱いとなり、トン当たりいくらという処分費用を払われ、
トレーラーに山積みとなって毎日処理工場へ入ってきます。私はそこの会長に頼まれて、
それらを液体肥料として利用するための試験も今年から仕事としてするようになりました。
生産者としての観点より圃場試験においての施肥設計が出来ること、日々のデータ取りや
適切な使用方法の検討、使用する機械類のオペレート及び維持管理・改造などが出来るという
ことなどが、声をかけられた理由のようです。しかし、なかなか乗り気にならず、本業もあって
数か月はぐらかし続けた上での根負けという感じで渋々承諾しました。以来、苦悩が続いて
います。農産物を生産する者として、それらの処理現場は見るに堪えません。まだ畑に生えて
いる野菜をそのままトラクターで耕してしまうほうが納得出来るのかもしれません。

膨大な弁当類・惣菜・練り物・野菜・肉類・油脂類・乳製品・洋菓子・豆腐・卵と、ありとあらゆる
ものが運ばれてきます。
無数の大きな箱に入ったまま、梱包も解かれず、無造作に作業場に置かれていた写真の
それを、工場の人たちが黙々と取り出し、キャップを開けて、一立米のカセットコンテナの中に
ドクドクとぶちまけていきます。その様子を2~3日見続けたでしょうか。終わって作業場も
静かになるかなと思ったら、奥には既にナタデココがいっぱい用意されています。
倉庫の外には、ドラム缶に入ったホールトマトの群れが封を開けられるのを待っています。
さながら、港に陸揚げしたそのままという印象を受けます。どれもこれも、消費期限が切れて
いないのに、訳の分からない【訳あり】なのでしょうか。

さて、自分の仕事はと言うと、ますご飯や麺類といった炭水化物類と、細かく裁断された野菜、
挽き肉や卵といった蛋白/脂質といったものを適切な配分で混ぜ合わせ、水で希釈した上で、
カッターポンプの入っている水槽に投入して循環運転を行った上で、メタン発酵槽へ送り込み
ます。投入が済んだら、発酵槽から溢れた残液(メタン消化液)のPH及び硝酸態窒素量、
発酵槽の温度、メタンガス発生量などを測定します。
消化液が溜まったら、今度はバキュームカーでそれを汲み上げ、周辺の協力農家さんの
水田や畑に散布します。作物を作付て以降は、県の農政関係者と一緒に生育や収穫量・
品質などを調査します。
現在は、散布用の車両として、中古のコンバインを改造しています。来月からはそれの調整に
奔走しなければなりません。

食品残渣から、メタンガスを取り出し発電を行った上で出てくる残液を液体肥料にするという
のは、良い取り組みです。エコロジーと評されるかもしれませんし、社会的にも有意義なものに
違いは無いでしょう。けれども、私が危惧するのは、そういった仕組みがあれば、大量に食品
残渣が出続ける世の中も肯定して良いという風潮になるのではないかという事です。しかし、
生産者だけでなく、それらの工程すべてに関わった人たちの気持ちというものはどうしたら
良いのでしょう。少なくとも私は納得できません。

よく考えなければならない部分は、ここで作っている液体肥料の材料は、
生産から加工流通を得て、揚句に運ばれてきたものであるということ。
生産・輸送・加工・回収いずれの過程においても、エネルギーや資材が消費されてきた上での
産物です。原料の有機物由来のものの利用を語るのは大いにう結構なことですが、ここに至る
までに増大してしまったエントロピーというものを見るにつけ、とてもエコとは言えない代物に
なっています。回収費が払われているから、最終的に処分する側の経済的な損失は少ない
かもしれません。本格的にプラントを立ち上げたら、補助金だって出るかもしれません。けれど
も・・・

例えば、巷で販売されている食品には、物流・販売時における損失が加味された 上で価格が
設定されています。このような計算を徹底してゆくと、工場を遊ばせずに稼働させたほうが
効率が良ければ、売れる見込みがあってもなくても余分に製造しても構わないというような
考えも生まれてきます。ロスを増大させても低コスト化が実現できるというのは・・・言いにくい
ことですが、何処かで搾取されている人々がいると考えられます。この地球上どこにでもいる
はずです。
消費者もゴミを買った覚えがなくても、ゴミ処理代をしっかり支払っています。


『1/3くらいゴミになっちゃうかもしれないんだけどさ、この値段で売ってよ。出来るだけ
安くしたいからさ。』

なんてもしもそんな風に正直に言われたら私は仕事をしたくなくなります。どんどん手を抜いて
量だけ維持するといった栽培をするようになるかもしれません。


エコだっていえば補助金貰えるから、どんどん設備投資しよう。
ちょっと待ってください。補助金は血税から捻出されてるんですよ。
そのお金で、残渣自体を減らす取り組みをしようとは考えられないんですか?

かくいう私は、それらの流れ流れてくる過程で発生したお金で雇われていたりします、
こういう仕事をがあるけどどうかと100人に聞いて何人が良い返事をしてくれるでしょうか。

『誰かがやらなきゃいけない仕事なんだけどねぇ。』

九割九分、このような回答をするのが関の山なのではないかと思います。
興味が持てないのは理解しますが、伝えたいことは私が日々目にするゴミの山に比例して
大きくなるようです。

メタンガスと消化液が欲しいのなら、別に材料は生ゴミだけでなく、河川敷の刈り草や、
家畜糞尿、極端なことを言えば、道端に落ちている動物の死骸でもなんでも、有機物なら
材料の一部になりえます。

来る循環型社会、私は将来食品残渣以外のもの農業利用したいと考えています。その勉強
にと今の仕事を受けました。
そうでも考えなければ、とてもやってゆく自信はありません。

巷の商品を見たときに、ほんの少しでもいいから何かを感じ取ってくれる人が増えることを、
切に願って止まない今日この頃です。


日頃より、私のコメやモチを購入していただいている方々には、こういった実情を知れば知るほど感謝しなければなりません。
 
 
以上。
思い返してみても悲しい。仕事を離れども、なんら世の中は変わっていなくて悲しい。
何も出来ぬ自分への苛立ちや、憤りなど最早なく、何もかもが悲しい。
この哀しみを共有できる人が例え大勢いたとしても、哀しいものは何処まで行っても哀しい。

だからこそ、直視し続けなければならないのだろう。

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