田舎日記ホーム >>> 田舎生活 >>> 新規就農者ブログ >>> #527 溝掘りは苦行か物理の勉強か

#527 溝掘りは苦行か物理の勉強か

| トラックバック(0)

十月に入ってからも、稲刈りは停滞が続く。一応は進めているのだが、どうしても
全く乾かないのは棚田。中でも一番下の要塞田んぼの状況が最悪だ。

傾斜している土地にあって、比較的広い田んぼの場合、どうしても、田んぼの脇を
通るメインの側溝(圃場整備の際に作られたコンクリート張りの用水路)も傾斜が
きつくなり、田んぼ全体で見た場合、落差の大きい箇所と、ほとんど無いような低い
箇所が出来る。田面は、整備された時には充分な落差があったとしても、年々沈下
してゆくためだろう。側溝のコンクリートの壁の高さよりも、現在自分の掘っている
排水溝のほうが低くなってしまった。その場合は、土手に刺さっているコンクリートの
板よりも下のほうまで掘り下げて、無理矢理排水させるか、壁自体に穴を開けてパイプ
でも突っ込んでおく他には道が無い。田面が下がったというなら、客土をすれば良いと
思うだろうが、この田んぼは農道とそこから田んぼ内へのアプローチ含めて、簡単に
土や砂を運び込めるような環境では無い。だったら、最初から無理して傾斜地の棚田を
無闇に広くする必要など無かったのである。平地・山間の傾斜地を問わず、全国の
圃場を画一的な考え方で広い乾田にし、農作業・生産効率を改善するという農業土木の
あり方はいい加減終わるべきだろう。このように過去に改良工事を受け、劣化した傾斜
地の水田など、誰がこの先も好き好んで管理していくというのか。水田として維持する
だけで、エネルギーの無駄遣いを余儀なくされ、また、収穫量もさほど改善しないと
いうなら管理する意味が無くなってしまう。そうなる位なら、昔のように自給的かつ
エネルギー投下量の少ない小さな棚田のままでいた方がマシだったろう。

ここは確かに自然豊かな土地に見える。だが、現状の管理方法からするに、見方を
変えれば単にエントロピーを無意味に増大させるだけの沼でしかない。農業が環境に
いいと思っている人は、即刻それが間違っているということに気付いて欲しい。


まあ、そんなたいそうな事を考えてみたところで、稲刈りが出来るようになる筈もない。
落水以降も雨が続き、完全には水が抜けずにいたので、今月に入ってからはひたすら
側溝を深くし、田んぼ内にも排水の溝を刻み続けている。学生や友人が手伝って
くれた後も、落差を更に稼ぐために黙黙と掘り続けている。溝掘りしかしていないの
だから、ブログだってそんなに更新しても面白くない。


これから更に掘れてます.JPG
 
これは約一週間前の写真。現在は、あたかもユンボで掘ったかのような深さになって
きた。だが、それでも乾かない。晴れが二~三日続いたかと思うとまとまった雨が降る
からだ。
 
 

 
おそらく、晴天が一週間続いてやっとコンバインが入れるかどうかといった感じ。
従って、稲刈りは早くても月末。よくイネが倒れずにいるものだ。
とにかく、このままではいつ収穫出来るか判らない。側溝掘りはまだ続けよう。
このまま晴れて稲刈りがなんとか出来たところで、来年だって、同じような事が
起きるかもしれない。ならば、しっかりと水の管理が出来るような状態にしておく
事が大切だ。
 
普通の人がこの様子を見たら、恐らく暗渠工事をしていると思うだろう。
だが、別に暗渠を入れるつもりは無い。この田んぼは貴重な生き物の宝庫。
水域を確保しなければそれらの生息域が無くなる、落水時でも、ある程度の水が
側溝にあえて残るようにしつつ、田面は乾くようにしなければなるまい。

そんな気持ちを知ってか知らずか、相変わらず湧き水の流れる側溝ではホトケドジョウが
群れで泳いでいた。だいぶ掘って、底面も均したので泳ぎにくそうだったが、どうにか
湿地まで辿りついて暮らしてくれ。今はこうしなければいけないだけで、決して君たちの
棲家を奪っているつもりは無いから。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://inaka-nikki.net/mt/mt-tb2.cgi/1819