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#500 草刈り考察まとめ

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要塞田んぼの緩衝帯(湿地部分)には、ヨシ(写真右奥の背が高い植物)も
目立つようになってきた。ヨシは、水質浄化作用が高いので、このまま群落化
させつつ、圃場及び水路のキワは侵入されぬように、しっかりブロックしてやれば
また面白い栽培方法になるのではないかと思う。

ヨシ群落を育てよう.JPG
 
ロクに草刈りをしない奴と思われるのは不本意だが、それでも栽培上でひとつの
特徴が追加できるとなれば、コメ販売の際、確実に有利にはたらく。
 
ヨシは、休耕水田で群落を形成している事が多いが、その状態になるまでには
大体3~4年以上の放置期間を要するようだ。
 
 
そんな感じで、最近は草刈りをしながら植生の観察をするのが面白くなってきた。
ただ目ン玉を三角にして、日頃の恨みとばかりに執拗に刈り込むだけでは、結局
後から手強い植物のしっぺ返しを喰らい続ける羽目になるし、作業時の精神衛生にも
よろしく無い。刈るシチュエーションによって、何がどう違うか、その植物たちは
何故ここに生えるのかと、考えを巡らせていれば、割と重作業も気楽に出来るように
なってくる・・・と思いたい。
 
 
そういった観点より植物を見るようになってくると、今度は耕作放棄地の植生が
非常に面白く見えてくる。
 
植生の遷移・・・.JPG
 
逆行で分かりづらいが、左から雑木林(山)・法面・水田(放棄三年目)・雑草に
埋もれたアゼ・水田(放棄二年目)・草地(裸地)・通常管理の水田となる。
ここは、右から左に向かって時系列で植生変化が追える。実践主義の自分にとって
正に生きた教材だ。

三年目の放棄地は、自分が管理している訳ではないので、放っておけば観察がし放題。
無責任な言い方だが、元々条件不利地なので、もう無理に元に戻さなくても良いのでは
ないだろうか。

 

そんな耕作放棄地で、現在一番目立つものは、やっぱりセイタカアワダチソウ。
他にも、色々な植物が生えているのだが、余程の湿性(沼沢)条件でない限り、
放棄2~三年目にはまずこの群落が形成される。
 
 
群落化の順序.JPG

(写真は、放棄二年目の田んぼ側から山に向かって撮影) 

奥に見える放棄三年目の水田も、同様に見えるが、奥の方ではヨシやガマの群落が
形成されつつある。ヨシの親株は、田面下に地下茎をこっそり一年かけて伸ばし、
翌年にガッと生えるのを繰り返して勢力を伸ばしてゆく。だから、見かけ上変化が
ないからとうっかりしていると、たちまち繁茂を許すことになる。これがはびこった
後の田んぼを再生するのは、なかなか大変だ。
 
 
この間草刈りを行うまで、リアル放棄地だった田んぼ(推定8年以上放置)は
水路らしきものを挟んで山に接しているが、植生を見ると、低木/潅木ツル植物が
優先化。ここは、裸地を最初に覆うような植物も見られるが、彼らが優先になる事は
無い。 
 
 
ジャングルは林縁.JPG

写真より奥の林縁へと入ってゆけば、植生は次第にジャングルの様相を呈す。
このジャングルが無ければ、林内には過剰に光や風が入り乾燥して木々の生育に
悪影響が及ぶ。このような植生は、体温調整のため人間が羽織るマントに林縁を
見立て、そのまま【マント群落】と呼ぶ。日当たりの良い平地を覆う植物群落は
同じように【ソデ群落】と表現される。マント群落を形成する植物の傾向は前述の
通り。

ソデ群落では撹乱された土壌を好む植物が速やかに表土を覆う。耕作放棄地に限らず、
造成地でも、イタドリやアワダチソウ・ススキなどが優先化している光景を良く見か
けることが出来る。また、そんな土地を管理する際も、執拗な刈り取りを行うと再生
能力の高い植物がどうしても優先化してくる。従って、例えばセイタカアワダチソウ
群落を毎年刈っていれば、いつまでもそれが優先植物となる。自然の考えからすれば、
まず単一植生そのものがあり得ない。その土地で優先化し、繁栄を極め極相(クライ
マックス)に至った植物はやがて必ず衰退し、次のステージの構成種群に土地を譲る
ので、放置すれば良いはずだ。やがて、植物や動物相も複雑になってゆき、裸地→草地
→低木林→森(この地域では常緑広葉樹林)と、その土地本来の植生が回復するので
ある。現代は外来種も多いので、昔とは置き換わる植物もあるだろうが、いずれにせよ
一人の人間の生涯を越える時間を経てバランスは回復してゆく。

ここで、耕作地の条件を自然側から考えてみる。耕作地は、その目的から裸地が
ソデ群落に遷移(せんい)する途中のままずっと維持されている状態にある事が
理解出来るだろう。だから、草を抜いても抜いても、群落の構成種は生え続ける。
これが耕作の宿命であり、この先もそれが根本的に変化する事は無い。
人間は、折角地球から土地を使わせてもらっているのに、草が邪魔だとダダを
こねている困ったちゃん(自分を含めて)しかいないのだろうか?
少なくとも、自分は困りながらもああ、生かされているんだなぁと思えるようには
なってきた。
 
 
普段、手こずってばかりいる植物が優先化していない所を観察すると
それなりに発見がある。
 
まだ優先化しない.JPG
 
ツルが絡まって勢いを奪われていたりする。
同じように、クズも木に巻きついて生育を阻害する。草だろうが木だろうが、植物同士の
せめぎ合いはいつもこんな感じ。

 

では、そこに、人が手を加えるとどうなるのか。
棚田の脇の農道へ行ってみよう。
 
 
なかなかの下克上.JPG
 
ここは、二ヶ月位前に林縁のヤブを刈り込んだ。その後の植物の回復具合は凄まじく
、まずはワラビが沢山生えてきた。陰り気味の区間では、刈り込んだはずの笹も
何事もなく再生すると同時にドクダミは勢力を弱めた。良く陽が当たるようになった
フラットな部分には、イネ・キク科雑草全般が侵入。また、地味ではあるがこれまで
よりも広い範囲を車やトラクタで踏みつけるようになったためか、オオバコも勢力を
伸ばしてきている。雑木に絡まっていたクズを株まで含めて徹底的に切ったせいか、
弱っていた木の枝も張りを取り戻しつつある。
 
一時的とは言え、植生が見事にムチャクチャな下克上のような状態になっている。
以降も管理する事を考えてみると、草刈りを行う度にこれが再現するのではやり辛くて
仕方が無い。そこで、どのように管理するかを考えなくてはいけない。まず、農道は
現在の幅を維持したいので低木をある程度処理して、林縁を斜面のやや内側までまで
押し込める必要がある。だが、それだけではクズや笹の繁茂を止められないので、
今度は、斜面の上側に周り込んで、笹ヤブを刈り込み、風通しと全体的に日照を良く
する。そうすれば、ソデ群落の植物を優先させられる・・・のか?
 
三年前、ここに来た頃は、軽トラ一台通るのがやっとだったが、とにかく本来ここの
農道の幅は車二台がすれ違える程度はあったらしい。それが、何故このようになって
しまったのかと言えば、林縁と農道が直接接してしまっているからだろう。
必然的に、農道の半分はマント群落になる。何回草刈りしたところで、林縁なのだから
植生は相応しいものにしかならない。そうこうするうちに、面倒になって管理は
あまりされなくなっていったではいだろうか。そして、木々が生長すればする程に
マント群落は押し出されて道を塞いでゆく。

なるほど、楽に管理したければ、傾斜地の林縁には道を遠さないほうが賢明だ。
通さざるを得ない場合も、ある程度群落形成を考慮して遊休地を道と林縁の間に
設けられたならば、少しは楽になるだろう。
 
そんな風に、今後の土地管理について独りでアセスメントをしてみる。
 
 
 
ところで、ヤブカラシやクズなどは、マント群落の主な構成種だが、別に林縁で
なくても平気で繁茂する。家の壁やフェンス、切り通しの道路の壁など、ツル植物の
特性上絡み付いて高く上ってゆける構造物があれば、それは木々でなくても別に構わ
ないし、地下茎が生きていればいつまでも生育し続けられる。コンクリートに囲まれた
空間では、他にライバルもいないので手強くなって当然。要するに自然の理に適わない
造成を行えば、その土地を維持管理するのも手間や金銭が必要なる。また、日本の
山野は余程高知でもなければ、いたるところに畑や田んぼがあるのだが、植生を
考えると山に還っても仕方のない場所もあるに決まっている。

今後も農業を広く行ってゆくのなら、圃場を造成/改良する上でも周辺植生の把握と
適切な区画割りが必要になる。これまでのように人間の観点だけで効率化・集約化を
考えてもどうにもならないどころか、貴重なエネルギ資源を浪費するだけ。

今が、化石燃料を文明活動の源として使用できる最後の時期だとするならば、その
エネルギこそ持続的な生活の基盤づくりに振り向けなければならないと思うのだが。
 
 
と、今更だがこれで五百回目の更新なのか。素人の長文にお付き合いくださった方々へ
お尋ねしたいのですが、相応しい内容になってますかね? 

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