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#482 田面下粗しょう症

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田んぼに仕掛けられた罠を暴く事にした。命の危険が無い地雷除去みたいな
感じだろうか。


今日は朝から除草を行い、その後はひたすらアゼの修正と畦畔板挿しに没頭。
そして夕方、四枚目の田んぼでここのところ最大の修羅場。今日のブログのために
色々と写真を撮ったが、そんなものは全てどうでも良くなってくる。
 

ここは、昨年もトラクタをスタックさせ、コンバインも横転しかけた現場。
一番大切な時に、必ず何か重大な不具合が起こっている田んぼに恥じぬ大問題だ。


で、まずはこの写真。パッと見は大した事はないが、これはモグラ穴の潰し込みを
行っているのでは無い。土手は、別のザル田と同じく、アゼを踏み潰すと簡単に
法面が無くなるまで潰れてしまう。このようにアゼの土手が無くなる程の漏水が
起きている原因を探している様子。

驚かない自分が嫌になる.JPG
 
ここ、畦畔板を挿そうと思って、エンピを突き刺してみると、深く挿せば挿す程に
どこからかかなりの勢いで漏水が始まる。要するにそれは、田面下に土手へと繋がる
大穴が開いている事を意味する訳で、まず状況を確認しなければ、とてもまともに
次の作業には進めない。最悪の場合、今年は修繕に専念し耕作を諦める必要が生じる
可能性すらある事を覚悟しなければならない。
因みに、昨年は水路側のアゼに畦畔板を挿した程度で水位管理自体に問題は無かった。
だが、今年は湿地からの水路を掘る際に田んぼを掘り返してみた時点で、過去の大規模
漏水の補修痕が見つかった。昨年は辛うじて被害が出なかっただけで、いつまでも
それが続く訳では無いし、土手もスカスカであろう事は大方想像がついていた。
水を張りはじめても、漏水は起きたり止まったり。最初はモグラ穴だけかと思って
いたものが、対応する度にどうも違和感がある。そんな理由もあって、躊躇せず
直ぐに穴の確認に踏み切った。


 
 
土手側の穴を探り、とにかく穴がどんな感じで空いているのかを探る。
 
これはかなり重症ですね.JPG
 
 
アゼを崩しながらゴボゴボと水の湧き出る拳大の穴を辿ってゆくと、直ぐに田んぼとの
境界に到達。案の定、田面のかなり下に空洞が通っている。ここに至るまでに、他にも
いくつかの穴があることを確認出来たが、掘ったそばから泥で埋まってゆくので
どうも確認しづらい。この検証は後回しにしよう。今、田んぼの水はほんの数センチ
残ったアゼのみで止まっている。

 
田んぼとアゼのキワの田面付近には、肥料袋が埋まっていた。
今回、エンピでアゼを切って漏水した原因を見つけたりと、思わずニヤリとする。
こんなものが埋まっているとなると、どうせ他の結果もどうしようも無いに
決まっている。

今回の漏水原因.JPG
 
この状況でニヤニヤしていた自分は、思い返してみると随分と気持ち悪い。だが自分は
別にマゾヒストという訳でもなく、どうややって補修したか判明したこと、肥料の銘柄で
以前誰が埋めたのか特定出来る事などこのゴミから得られるものは多かったから少し
してやったりという気がしただけだ。
とりあえず、この状況を一度落ち着かせてから補修した者に、どの辺りから漏水が
起きたのかを尋ねれば、以降の対処は随分と行い易くなるだろう。

 
さて、これ以降は穴の全貌を探る必要が出てきた。
そこで、更なる荒療治を始める。
 
放水開始.JPG
 
臆さずに、皮一枚で保たれていたアゼを完全に切り、暫く落水させる。
すると、土手の土がどんどん崩れながら押し流されてゆくので、辿ってきた一本の穴
意外に見過ごしてきた穴を否応無く露出させる事が出来る。
 
 
だが、崩してしまえばとんでもない勢いで水が落ち、切り口付近の水圧も相当である
のは明白。ここを切った後、直ぐに水をせき止めるには工夫も必要である。周囲を
見渡し、その為には、土の中から引きずり出したその肥料袋と、その辺りに落ちて
いるものを利用する事にした。
 
緊急オペ中.JPG
 
まず、肥料袋に田んぼや隣接する水路の泥を詰め込み、土嚢を二本作って切り口の
傍に落とし込む。すると、流量が減るので、その周囲を泥ではなく、アゼからエンピで
切り取った固めの土を詰め込んでゆく。その後、ずっと水路のキワに何故か焦げたまま
放置されていた畦畔板の使用可能な部分を、枝払いの為に持ち歩いていた鋏で切り取る。
先ほど挿したばかりの畦畔板も一部抜き取り、切った畦畔板と合わせて田んぼに食い
込ませるようにして、挿し直す。これにより、水の流出は殆ど無くなるので、
後は泥と土を畦畔板の内側にひたすらよそってゆけば良い。
以前ならうろたるばかりだったかも知れないが、場数を踏むと異様に機転が利くように
なる。医者の手術とかもこんな感じなのだろうか。

 
で、空洞の多さを見て唖然とする。
この写真をパッと見ただけでも五本。しかも上から下まで万遍ない
  
穴居民族の遺跡.JPG

『なんじゃこりゃ!穴居民族の集落か?』
 
読んでいて拍子抜けするかも知れないが、これが第一声。
流石にこの日のみでの対応は無理だと判断。単純に、土嚢を作りまくって土手を
復元する程度だと、漏水の再発は免れまい。ある程度は修繕すべきだが、そうすると
今月下旬植えは避けれない。然し、逆にこのままどこまでだまくらかして耕作可能なの
かも興味がある。敢えて、このまま代かきを行い、明後日くらいに田植えをして
しまおうか・・・。明日まで少々考えてみよう。
 
しかし、険しい高山に登ったり紛争地域に取材に行ったとしても、こんなのは
拝めないよなぁ。このままにしておいて、今度学生達に見せてやろうと思う。
 
 
ついでに、土手を崩していて出てきたもの。
 
マジ色々埋まりすぎなんだけど~.JPG
 
畦畔板のかけら・ビニールマルチなど。
マルチ投げ込みは、田面陥没の際、応急処置を行うのにもってこいなのは
以前教わった通りのようだ。だが、そのまま何年も放置して根本的な改善を
行わずにいればどうなってしまうのかも良く知ることが出来た。
それに加え、今回も激しいとばっちり感があるのは言うまでもない。
 
  
本当に、いっつも誰の尻拭いしてるんだろうね。

毎度毎度こんなのばかりなら、実際に排泄をした直後の他人の尻を拭くほうが何百倍も
楽だ。常識的な感覚を持っている人間なら、こんな田んぼはとっととつき返すか、
下手をすると何でもかんでも疑心暗鬼になって他所へ引っ越していってしまうだろう。

農業を行う上で、土地のヒストリーだとか、誰がどのように管理していた場所なのか
とか、そういったファクターは大切なのだけれど、他所から来た人間はなかなかそれを
知ることが出来ない。今後の新規就農者は、ある程度土地を集約して管理することが
可能な【地域の将来をになう、れっきとした後継者】になるべしという位置付けにある。
そのために、年間150万円の補助金を貰ってみんな就農しようと思うのかも
知れないが、仮にこんな土地ばかりだったらどうやって集約出来るというのだ。

農業後継者と呼べば聞こえは良いが、実のところ、お片づけ係でしたという自分と
しては、安直な考えで農業を始める人が増えてきている状況を見ていて、実に複雑な
気持ちである。
 
 
あのね、都会から逃げたいって気持ちだけで農業始めて、もしそれで失敗したら
多分君はしばらく社会復帰できなくなるよ。
 
それでもいいかい?

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