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#425 研見楽学

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冬の最中、訪問客あり。
といっても、ある程度は気心の知れた仲でもある学生。4月より就職し、
今までのようには動けなくなってしまうので、今のうちに色々と訪ね歩いてみたい
との事。気になっている農家さんを訪ね歩くとは、コスタリカに留学していた経験を
持つ彼女らしく普通の学生の卒業記念とは根本的にアプローチが異なるっているようだ。
  
という訳で、用事があるのは何も私の所だけでは無い。
小さい頃からここの野菜や卵を食べ時々遊びに行っていた農家さんの所へ久々に顔を
出してお話を伺いたいというので、初日はそちらへ赴く。
事前に、その農家さんは何処かと尋ねればモロに自分も知り合いの所だった。
だったら話が早いわーというような感じで一緒に見学させてもらいに行く。
世間って、何でこんなに狭いのだろうか。
 

訪れた所は、成田空港の中で農業を営む一家。
長年の闘争の末、最後まで当地に残った数少ない生産者さんだ。

空港の中で.JPG
 

栽培方法や、現在の取り組み、これまでの経緯などの話を聞かせて頂きながら、収穫
作業に同伴。ご家族と昼食までご一緒させていただいた。出てきた食材は、米や野菜は
勿論のこと、卵や豚肉まで自前なのだから本当に恐れ入ってしまう。また、それらを
食べて育った子が、大きくなってからも訪れるという関係も、ものすごく自然な流れ
だ。それがずっと先の世代まで続く事を考えると、今流行の食育という文字も霞んで
しまう。
 
 
ご主人は物腰もやわらかで、ごく普通の方のように思えるが、どっこい
このフェンス向こう側の数十メートル先では大型旅客機が離発着している。
自分は闘争の世代ではないのだが、ただならぬ印象を受ける。

北総地域をはじめ、千葉県全域で感じるのは、栽培方法に関わらず叛骨精神を秘めた
生産者さんがやけに多いこと。その中でも、過去の争いが苛烈を極めたであろう土地に
残るここは別格の存在かもしれない。然し、妙なイデオロギーのようなものは感じない。
百姓が自らの土地を守るのは本分に他ならないのだとご理解いただくのが良いだろうか。

 
一応、撮影もブログ掲載も了承を得、色々と案内してはい頂いたものの土地の特性を
考慮して、必要以上の公開は控える事にする。
 
 
個人的に印象深かったのは、ここ。

意志を貫き者のみがここに眠る.JPG
 
地元に残り続け、やがて亡くなっていった方々の墓地。
どれほどの思い入れがあったとしても、ここに埋められるのは土地を離れなかった者
だけ。出て行った者は、どうしても戻ってこれないものだとしんみりと話して
いただいたのが心に残る。かつてこの地にいた方々の信条は、闘争が収束したと思われて
いる今日においても、未だに生き続けているのかも知れない。

苦労して開拓し、やっと出来上がった土地をさほどの時を経ないうちに退去させられる
事になったら、どんなに憤りや悔しさを味わい、未練が残ることだろうか。
未だに何も無い自分は、何となくその哀しい気持ちを察する事は出来ても想像の範囲で
しかない。けれども、ここでは何故か時空を超えて、人と会話しているような不思議な
気持ちになった。

 
二日目は、モチ作りの手伝いをしてもらう。
田んぼ学生として一昨年からお馴染みの里奈を加え三人となったので、だいぶ助かる。
 
発芽玄米モチですよ.JPG

作るのは、やはり玄米モチがメイン。
何故か正月を過ぎても安定した需要がある。今回は、水に浸すこと四日。
水温を上げて浸したところ、かなりの率で発芽しており、結果的に製品の甘味は
以前より増す事になった。
 
 

役割分担は特に固定せず、色々と何でも教えつつ実践してもらった。例えば
火の番を任せるという事は、マキを切ったり割ったりすのも任せるということだ。
 
ふたりは マキわり のわざをおぼえた.JPG
 
ナタもチェンソーも普通に使わせる。これは、使ってみたいというモチベーションに
応じた結果であって、別に押し付けている訳ではない。
なんだか、女性が荒っぽい刃物や機械に弱いというのは世間のつまらない常識なんだ
ろうと思う。モノゴトを教わる過程で、どのようなイメージを植えつけられるのか、
そしてその先の興味喚起があるのか無いのかというのが重要なのではないだろうか。
 
 
 
ひたすらコメをいじっていたからというの訳ではないが、昼ゴハンは天然酵母の食パン。
カレーも沢山あったので、ホットサンドなども作ってみる。

つまみ食い上等.JPG
 
モチを作っている最中は、意外と時間に余裕が無く、パンはとても重宝する。
知り合いのパン職人さんが丹精込めて作っているのが、しっかりと伝わったようで、
非常に好反応。なんだかこちらまで嬉しくなり、コメじゃなくてパンをしきりに勧めて
みたりするのだった。コメに固執する必要は無い。やはり大切なのは作り手の心意気
なのである。

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