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#366 最後の砦

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昨日田植えした田んぼの様子を見に行ってみると、ほとんど水が落ちている。
深いくせに、水もちは良くないようだ。
 
 
田植えをしたら、直ぐに資材を投入したいところだが、このような場合もあるので
しっかり管理方法を見極めてから実行せねば、文字通りお金をドブに捨てる事に
なる。また、有機物の塊を外の水系に漏出させることは、水質汚濁による周辺環境の
汚染に他ならない。
 
 
この田んぼは、既に用水と隣接する側に畦畔板を挿してある。そこで、随分と薄く
削られてしまっていたアゼを修正する。隣の田んぼとは若干とは言え落差がるため、
ここを薄いままにしておくと嫌がられるだろう。それでも、減水が激しいようならば、
暗渠が潰れている事になるので今年は諦める以外に無い。

簡易修正&除草.JPG
 
田んぼの泥をごっそりとすくい、アゼに被せて成型する。この際、アゼに生えている
雑草も泥の中に埋め込んでしまえば、しばらくは除草管理も楽になる。やっぱりスズメ
ノヒエやアシカキが多いので、出来るだけそれらを駆逐しておこう。落水が必要な
場合も多少は排水溝の効果があるだろう。高くしておけば、モグラ穴による漏水被害も
防げる。

この土盛りを考慮して、敢えてアゼの傍の一条は何も植えなかった。
つまり、4条田植え機の一番右側を抜いてアゼに沿って田植えをした格好。
イレギュラーな土地は、どれだけ収穫するか等と考える以前に、正常な管理が出来る
よう少しでも努力するほうが懸命だ。
 

ところで、「何も、こんな酷い田んぼばかりで耕作しなくても」と思われる読者が
そろそろ出てきた頃だと思うので、一応そのあたりを簡単に解説しておこう。
 
自分の管理している水田のうち、全ての作業において通常通りの耕作が行えるのは
ざっと考えると二割弱しかない。外は、ザル田・深みの多い田・田面の工程差が
激しい田・トラクタもコンバインも寄せ付けない田など、必ず何らかの重大な問題を
抱えている。それらの田んぼみな、自分が来る前には師匠が管理していた土地でも
ある。全く知らない土地で就農する際は、当然近所の農家さんからも信頼が直ぐに
得られる訳ではない。従って、研修などを通じてお世話になった人から、一部の
圃場を受け継ぐ事になる。単に、その相手が師匠だったという話。

では、師匠が田んぼを荒らしたのかというと、それもまた違う。

寧ろ、師匠はそのような管理が困難な田ばかりを引き受けて、一人で5町も6町も
耕作を行っているる。田面がガタガタだったり、草刈りをほとんど出来なかったりと
色々と耕作上の問題点もあるのかもしれないが、規模を考えるとやはりそれも仕方が
無い。ほとんど超人的と言っても良いほどの作業能力によって、耕作放棄される寸前の
田んぼを彼が守っているのである。

それでも、その努力を正当に評価することの出来る者はなかなかいない。
周囲は、田んぼを荒らしているとしか見ないのだ。それなのに、管理が困難になった
田んぼがあると、また師匠のところに話が持ってゆかれる・・・。虫が良すぎるだろう。

また、この状況は自分にとっても似たようなもので、師匠以外の人からも、
「どこそこの田んぼをやってくれないか?」
と、持ちかけられる事も多いのだが、当然、良い田んぼが出てくるはずも無い。
やる気のある若いのだから出来るだろうとでも思っているのかもしれないが、そもそも
まともに耕作するスキルすら無いのに、酷い田んぼを増やしたらそれこそ自殺行為だ。
だから、

「人様の土地ですし、ちゃんと管理できる能力が身につくまで受けられません。
 大切な土地が荒らされたら困るでしょう?」
 
 
と、丁重にお断りしている。今ある田んぼを少しでもまともに管理させなければ、
周囲は誰も信用してくれない。従って良い土地も巡ってこない。信頼を得られるように
なるまでが、就農してからの最大の課題とも言える。書面に経営計画を書くことは
ナンボでも出来る。然し、それを実践出来るフィールドが得られるかどうかは、最初の
数年間での頑張り次第なのだ。それでも、その頑張り方が湿田耕作のプロ方向に寄り
過ぎているので、結局は湿田ばかり集まる可能性も否めなくなってきている。
 
 
『ヤツは酷い田んぼのプロだ。あれに任せれば大丈夫だ。』
 
 
とか、そんな信用なんぞいらんわい。
 
 
こんな感じで師匠が流しソーメンのザルだとするならば、自分はポリバケツに限りなく
近い所にいる。でもまあ、胃腸だけは丈夫なので、落ちてきたものが食えない訳では
ない。3年目になっても、先が思いやられるばかり。
 
 
今年から、このような作業を行う場合、鋤簾を使用しているが、これがとても便利。

じょれん大好き.JPG

さすが、モルタルをこねる時などに重宝するだけあり、泥を沢山よそって、ペタペタと
成型するのに向いている。エンピやマンノウ、代かき棒などを駆使してアゼの修正を
行った場合に比べて、格段に作業が早くなる。また、モグラ穴を踏み潰して漏水を止め
アゼの高さが下がってしまったような区間でも、速やかに元通りのアゼ形状に復元が
可能。 これはもう手放せない。
 
 

その作業が終わった後は、延々と手押し除草。
結局、田植えが終わったというだけで、体が休まるヒマが無い。
 
アサイ式万歳.JPG
 
中耕除草機で縦方向の除草は済んでいるので、今度は人力で横方向に除草機を押す。
機械だと3条同時だが、横方向の除草をそれで行うと必ずイネをなぎ倒してしまう。
一条ずつだと、時間はかかるが小回りが効くので、やっぱりこちらの方が良い。
チェーン除草機の時期が済んだら、この横方向除草と、ステンレス熊手によるカキ
取り、機械除草を組み合わせるとかなり良いところまでいけそうだ。
とにかく、イネが太くなって、株元に影を作ってくれるようになるまでに、ある程度は
カタをつけておきたい。暑さが本格化する時期の除草はもっともっと大変なのだから。

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