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#365 修羅場続き

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このブログを一日に一話ずつ読んでゆくと丁度一年かかるらしい。
気が付いたらだいぶ更新回数も増えていた。
内容は、回数を重ねるごとにハードになっており、終わりなど見えそうもない。
ともあれ、昨日今日の作業で一区切りはついたようだ。
 
 
昨日は、午後から例の早稲を潰した田んぼの田植え。
終了と同時に雨が降ってきた。

今なら降ってよし.JPG
 
かなりの遅植えとなったので、念を入れて植え込み株数を稼ぐため、尺角植えによる
疎植は断念。田植え機は通常の作業速にして、株間は最大。苗箱の播種密度は60~
70gという極端な薄蒔きのため、苗取り量は最大。植え込み枚数は20枚。
ここ数日は曇りや弱い雨のため、植え付け後の高温と日照りによるイネの衰弱も
回避出来そうだ。逆に言えば、この土日が最後のチャンス。如何なる天候も省みず
作業する以外に道は無い。もう失敗は許されないので、植え付け直後の対応も、従来の
方法と変えた。
 
 
まず、速やかな活着及び初期成育を促すため、ミネラル(天然にがり)を希釈して
田んぼに流し込む。微量金属成分を補給し、光合成を盛んにさせるのが狙い。

ミネラル補給.JPG
 
これは、流し込むだけなので、苦土(くど)系の粒状資材を散布して土に混ぜるより
断然使用しやすく場所も取らない。追肥時にも使用可能。
 

 
そして、今年の天候から察するにまだ出てくるだろう雑草対策(主にコナギ)として
発酵ヌカ系肥料を散布。昨年も実験を行い、ある程度効果が確認出来ている。

コナギ防除肥料.JPG
 
本来、このタイミングでの田植えの場合、元肥はごく少ないかむしろ入れなくても
大丈夫なほど、土中の有機物が還元されている。慣行栽培でも、遅植えのコシヒカリ
で元肥のチッソ量は2Kg/一反と、通常の1/3程度。だが、それは土中に肥料を
混ぜ込む全層施肥の場合であって、田面に肥料を散布した場合は、チッソが根から
吸われず、空気中に逃げてしまう、いわゆる【脱チツ】現象が起こるので、本来は
このような施肥をするべきではない。だが、発酵ヌカには、コナギの発芽を促しつつ
生育初期の生理を乱して枯死させるという性質がある。飽くまでも、初期除草剤の代用
品として散布している訳だ。肥料成分も、チッソで3%(20Kg中600g/一反)
使用量は20Kg2袋のみ。ほとんど施肥していないのと同じと考えてよい量だろう。

抑草物質の濃度が高くなるよう、水位はしばらく低めを維持。
にがり、ヌカともに流亡を防ぐために畦畔の漏水管理を徹底する事が使用の大前提だ。
上手くいくようなら、これが来年以降の施肥・防除体制の基礎となるだろう。

因みに、ヌカ系資材でも全層施肥を行ってしまうと、除草効果がほとんど無くなるか、
下手をするとコナギの過剰繁茂を誘発させる可能性が高い。その原因としては、
コナギの出芽深度は15mm程度までと浅いため、資材がそれ以下に埋まると恐らく
生理撹乱物質の影響が弱まるのではないだろうか。また、土中に埋まった有機物を
微生物が分解する際に水中の酸素が消費されてしまうので、嫌気的な条件がコナギの
発生を助長する。それに、ヌカの発芽促進作用が乗ってきたとすると爆発的に発生
してもおかしくは無い。何を隠そう、潰した早稲の田んぼは元肥に有機肥料の全層
施肥を行っていた。
また、生ヌカでも散布直後からコナギの発芽促進効果はあるが、生理障害を及ぼし
始めるまでには、田の中で嫌気的分解が進むまでしばらく時間を要する。このように
生ヌカは即効性が無いため、除草に生ヌカを用いて失敗したという事例が多いらしい。
この発芽促進作用のために初期に大量発生したコナギを駆除しきれず、ヌカが発酵し
始めた頃にはある程度成長してしまったのが原因と思われる。ヌカを使用した除草を
行う場合、冬季湛水田において、田植え前年の秋に生ヌカを大量散布しておき、
不耕起で田植えを行うのが良いとされるが、これは水田の状況や田植え機を選ぶため、
現在の自分にとっては余り現実的でない。発酵した後に乾燥させてペレット状になって
いる資材は、体積が生ヌカに比べて相当に小さくなっており、虫が湧くなどの心配も
無いので有り難い。生ヌカで同様の処理を田んぼ2町歩に行おうとすれば、3~5トン
程度のヌカを用意しなければならないのだ。一人だけでろくな設備も無い中、他の
作業と併行して生ヌカ散布を行うのは相当に辛い。耕作だけでなく、炊事・掃除・
洗濯・機械整備まで自分で行って、濃いブログも頻繁に更新しているというのはよく
考えると凄いのかもしれない。
 
 
 
そして、残るはもっとも厄介な田んぼ。
昨日の夜までかかってなんとか代かきしたまでは良かったものの、見事にアプローチ
の直後が深みになってしまい、トラクタが腹まで埋まる。この傾斜がどうしても
上れない。真っ暗の中、腹の下の泥を両手で退け、何度か脱出を試みるも、あと少し
のところでフロントが持ち上がってしまう。バックで出ようにも、この深みの中では
旋回も出来ない。昨夜はあきらめてこのまま家に帰った。

惜しい!出られん.JPG
 
この前に入った時、水を張ったらもう出られなくなるかもしれないと思っていたら、
やっぱり出れなかった。そう思うなら、ラダーでもコンパネでも用意しておけば
良いのに・・・。
 
 
結局、今朝に師匠のトラクタで牽引してもらい事なきを得る。
いつもありがとうございます。
 
牽引感謝!!.JPG
 
軽いスタックならば、車格の同じトラクタで牽引しても問題無い。牽引が必要だった
距離は1mにも満たなかった。悔しい。本当にあと少しで出れたのだ。今後はフロント
ウェイトを用意しておかねば。
 
 
洗うのだるいわ.JPG
 
しっかし、こりゃ洗うのが面倒そうだな・・・
一日中、色々な機械を洗う日が必要になりそうだ。
 
 
 
暗渠栓を抜いて田んぼの水を落水させている間は、別の田んぼで除草。
午後から田植えを開始。
 
ぐらぐらしてて怖い.JPG
 
スタックポイントは太腿まで埋まるため、田植え機でも走行が安定せず、下手をすると
埋まる可能性がある。機械に余計な負荷を与えたくないので、片輪はアゼの上、もう片
輪は板を敷いて田んぼに進入。こんな時に重宝するのではないかと、建築現場から廃材
として出るコンクリートの型枠を沢山貰っておいて正解である。カラーコンパネと
垂木の組み合わせだが、ただのコンパネより強度が高く、トラクタで踏んでも、何度か
は割れずに通過が可能。
 
 
 
田んぼは整地しきれずにタイムリミット。
この棒より奥、全面積の2/3だけ植える。
 
棒を超えると死にます.JPG
 
この棒より手前は、土が高くなりすぎていて代かきが不可能だった。
その上に深いため、田植機がスリップしながら進むことになり、植え付け間隔は
ムチャクチャになる。植えても、ここの高さまでまともに水を張ろうとすると他の
苗が冠水して死んでしまう。そんなに水を張ったら、隣の田んぼの水位管理に悪影響
を及ぼすのも必至。欲張ってもロクな事はない。
 
 
 
危険箇所を徹底的に回避したお陰で、以降の作業は順調。
苗箱も、見積もりより3枚減。田植え機のスロットに残った苗は補植用として
田んぼに放置。

1/3は捨て区画.JPG
 
ここは、件のミルキースターと、自家用のコシヒカリを区画分けして植えた。
識別が出来るよう、両者の区画の間は約3条ほど開けてある。本当に収量を無視した
植え方だが、周囲はここが最悪の田んぼだと知っている。誰にも咎められまい。
 
 
一息ついてから、田植え機を軽トラに積み、苗箱の後片付けをしながら、犬の散歩を
していたおばちゃんと立ち話。
 
 
『これ、いい苗だね。昔の苗みたい。何日くらい?』
 
「うーんと、一ヶ月ちょっとくらいです。遅植え用に育てといたんで。」
 
『どうやって育てたの?』
 
「ハウスもトンネルも使わないで、葉っぱ2枚くらいになったら田んぼに放り込んで
 おいただけですよ。それで勝手に苗になるから。」
 
『だからだったの。昔はそれみたく苗代で直接やってたんだけどね。やっぱりそれで
 いいのかもね。これならすぐにつく(活着する)でしょ?」
 
「それがね、田植え機が根っこを短く切っちゃうからそこまでは早くないんですよね。
 昔は、根っこをなるべく千切らずに植えてたからそこが惜しいんです。」
 
『それはそれで難しいね。でも偉いよ。こんなきつい田んぼ一人でやってるなんて。』 
 
「ありがとうございます。植えた先はまだ何とも言えないけど、この先も頑張ります。」
 
  
 
昔の苗と言われたのは、ちょっと嬉しかった。
ずっとこの土地でコメづくりをしている人から褒められた苗を植えたのだから、
ただ植えれば良いってのも少々申し訳ない気がする。酷い田んぼではあるが出来る
だけ面倒を見ようと思う。
 
 
ああ、疲れた。本当に明日は昼くらいまで寝ててやろうか。

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