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#353 小型機的生活

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アゼの作りこみが出来ないまま、代かきをせざるを得なかった田んぼには、畦畔板
(けいはんばん:アゼギワに挿す漏水防止のための波板)を使う事になる。
しかし、これを挿す際は、アゼに生えている草の茎や根っこが邪魔になるので
予めエンピなどで土を切って、そこに挿すことになる。これがなかなか面倒だったの
だが、今年はもうそれで骨を折ることも無い。
 
 
トラクタのロータリーに、アゼ切り用のディスクを装着するとか、ありきたりの
手法だったなら、いちいち報告しない。

アゼきりも任せて!.JPG
 
除草機で、田んぼの外周を切ってしまえば、一発で事が済むことを発見したのだ。

 
写真は、除草機を通した後の状態。 
トラクタで畦畔を切る場合だと、アゼのギリギリを通すのに熟練が必要だが
コイツならいくらでも近寄れる。移動速度も思いのまま。納得の行かない箇所は
すぐに旋回して何度でもやり直せる。


マジおりこうさん.JPG
 
このように、スパッと直角に切れる。畦畔板を挿さない場合でも、アゼに充分な幅と
高さが確保されている場合は、これを通しておけば、キシュウスズメノヒエや、アシカキ
など匍匐茎(ほふくけい)を田んぼに侵入させてくる雑草による被害もある程度抑えら
れる。匍匐茎は、田んぼにある程度水が張ってあれば節から出た根が土を掴まえる
事もないので、後々の除去が楽になる。ただ、直角に切った場合は、アゼがモグラ穴
の被害を受け易くなるので、注意も必要だ。
 
 

4枚の棚田も、そろそろ田植えが出来そうな状態になってきた。
 
広くても関係ねえ.JPG
 
トラクタの入れない(入りたくない)深い部分は、例によって残しておき、後から
管理機と除草機を使って代かきを済ませた。深い箇所にトラクタを進入させるのは
ここ一発の時のみ。無闇に入れば入るほど、深みが広がるのである。
 
 
それにしても、除草機・・・もう除草機と呼ぶには惜しい程の活躍を見せてくれている。
考えてみると、肝心の除草よりも、代かきやアゼ管理での出番の方が余っ程多い。

本体価格/維持費ともに安い・どこでも入れる・マルチパーパス・他の機械の消耗を
防ぐ。これは飛び道具もいいところだ。

そして稼働率も本来の用途のみで使用した場合と比較してみると倍以上になっている。
これは画期的なことだ。農業では、その時期にしか使用しない機械というのがやたら
多いのである。稲作だと、除草機・播種機・田植え機・コンバイン・乾燥機・アゼ
塗り機・・・いや、最も身近な刈払機とて例外ではなかろう。自分の場合、年中
使えるのは、トラクタと管理機、チェンソーだけと言っても過言ではない程だ。

普通の設備投資の考え方から行くと、設備というのはなるべく遊ばせないように
稼働させ、とっとと償却を済ませて可能な限り稼ぎを生み出さなくてはいけない。
一年のうち1~2ヶ月しか使用しない機械など無駄でしかない。然し、農業の場合は
それが通用しないケースが多々ある。前述のような機械を揃えれば、確かに作業効率は
改善するかも知れない。然し、償却しきれるものがどれほどあるのだろうか。
年に数える程しか使わないものだからと言って、価格が安くなる訳では無い。
それに、耐用年数が飛びぬけて長い訳でも無い。そして、設備は雇用と同様に
下方硬直性のあるコストが乗ってくる。即ち、持っているだけでお金がかかるのだ。
それを計算せず、方々の機械に手を出せば機械化貧乏になってゆくだろう。

だから、今回のように他の道具で代用出来るものがあれば、それを遊ばせず徹底的に
使い切る。また、程度の良好な中古機械を出来るだけ安く揃えることが収益を出す
要になってくる。

 
例えば、現在使用しているトラクタは、フルキャビン・27馬力・標準ロータリーと
バケットローダ・ストレーク付きで購入価格が55万円だった。これを10年使用した
とすると、年間5万5千円である。同じ装備の新車を購入すれば、間違いなく500
万円を超える。これを30年使用したとしても、年間17万円弱かかってしまう。
仮に中古機のメンテに100万円費やす必要があったとしても、まだ分があるのである。  
 
また余談になるかもしれないが、以前説明したように作業機の進化は意外と遅い。
新たな機能を付加して、次々と新型は出てくるものの、農家自体はその機能の使い
方を知らずにいたりもする。とある農機屋さんは、トラクタの諸自動制御の設定を
いくら説明しても覚えられない農家さんが多く、いじくってはしょっちゅう呼ばれる
ので、これでは仕事にならないとどうにでも使える状態にした後、『もう触るな』と
言って置いてきた事もあるそうだ。これは高齢化の弊害かもしれないが、それでも
今まで通り耕作が出来るのならば、本来の機能がしっかりあれば良いということだ。
だから、10年、20年と経過した機体であろうが、本来の性能をその先10年
以上出せる見込みがあればそれで構わないという事になる。また、スケールは従来の
ままで、高速作業に特化させたような機体は、単純に考えた場合使用時の負荷が高く
なるので、早く作業出来る事をいいことに無理をさせて、早々に重整備が必要になる
ようなケースもしばしば起こっている。型の新旧を問わず、機械と対話しながら
作業をすることが最も大切なのだろう。新車だと、しばらくの間は無理に応えて
くれるが、オペレータはそれに気付けない。未経験者がその感覚を養うには、
少々ボロい機械の方が良いのかもしれない。もしトドメを刺しても負担が比較的
軽いのだ。

 
負け惜しみ的な流れになってきたが、要するに今の自分には高価な新車を選択する
ことは出来ないだけ。それでもやはり新車には憧れもある。お世話になっている
農機屋さんにも本当は報いたいところではあるのだが、それにはやっぱり生計を
安定させてからでないとなかなか難しい。
 
 
『そのうち新車のトラクタ買うからさ。』

というのが今後の口癖になりそうだ。


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