田舎日記ホーム >>> 田舎生活 >>> 新規就農者ブログ >>> #334 放射性物質への雑感

#334 放射性物質への雑感

| トラックバック(0)

普段と変わらずに作業する日々があっても、これまでと変化した部分もある。
やはり、放射能についての話題や、食物への影響について知人から質問も増えた。
 
周囲では、葉物野菜の出荷制限が行われたり、自発的に流通を見合わせる動きもあり
風評被害や、相場下落なども出始めている。
 
  
正直、今年のコメについては収穫してみないと判断出来ないというところでしかなく、
問い合わせに対しては、その旨をまず説明している。その後、イネは比較的放射性物質
の影響を受けにくい作目であること、それでも念を入れて、どのような栽培方法で対処
していくのかを話す。最終的には、購入者や体験参加者の判断に委ねることになってし
まうのだが、全く対応を考えていない生産者という訳では無い事だけは知ってもらい
たいのだ。

具体的な対応としては、カリウム肥料を増やして同属元素のセシウム吸収を相対的に
減らす、深く耕して表層の土を反転させるあるいは湛水量を増やして圃場の外へ放射
性物質を排出させる(粘土質鉱物に対して吸着性の強いセシウムについては効果が期待
出来ない)、遅く田植えをする(半減期の短い物質に対して若干の効果を期待する
ものの、化学的根拠は不充分)、畑の場合は、雑草や緑肥を生やして刈り取り、残渣を
圃場の外へ排出するなど。


それでも、上記については放射性セシウムとヨウ素に対しての消極的対処法でしかない。
それらの検出量は、この地域のホウレン草で規制値の1/10以下であって軽微なもの
だと言われていようとも、他の放射性物質を体内に取り込んだ場合の影響など、誰も
知り得ないのが現状である。

飽くまでも自分が知りえる範囲の事しか伝えられないので、もっと自分自身が勉強を
しておかないとどうしようも無いと常々思う。また、疑心暗鬼になってしまう人が
増えないように、誰でも出来る自衛手段も教えられるようにならなければいけない。
 

そこで仕方が無く、まずは高校の化学の教科書を引っ張り出してきて周期表をよく
眺めたり、見識のある知人に話を伺ったり、関連する文献を探して読むようになった。

しかし考えてもみると、報道も変である。
何というか、個々人が判断できるような指標を与えるでも無く、放射性物質が検出
された場所やその値などをダラダラと述べているだけのように思えて仕方が無い。
有識者と呼ばれる方々のコメントも、ごく特定の根拠に依存して安全と言っているようで
細々した疑問が晴れる事はない。

確かに、嘘は言っていないかも知れない。けれど、知りたい事は殆ど出てこない。
一方的に受けた情報のみをもって、自分は何をどう行動すれば良いのだろうか?
 
だから、今はそれが知りたくて仕方が無い。
そして、知れば知るほどに、色々とおかしな事に気付いてゆく。
 
 
例えば、ガイガーカウンター。
一般的に使用されているものの多くは、ベータ線・ガンマ線のみを検出する。貫通性の
低いアルファ線が検出できるものもあるがあまり出回っていないようだ。それで、
確かに、紙一枚で遮蔽出来るアルファ線、アルミ板程度で止まるベータ線などならば、
外部から受けてもたいした事は無いのかも知れない。けれども、それらを放出している
物質を体内に取り込んでしまった場合は、この数値も当てには出来ないのでは
ないか。(アルファ崩壊を起こす元素の質量は重いものばかりなので、そうそう飛来
しないが、使用する場所によっては)なにより、ガイガーカウンターのみでは放射線を
出している核種までは特定出来ない。

友人は、ガイガーカウンターを持って色々なものに向けて測定を行ったが、空間や
物体に向けて測った値よりも、人間に向けて出てきた値の方が相当大きくて、思わず
笑ってしまったそうだ。つまり、既に世の大勢の人々が原発事故で飛散した放射性
物質を体内に取り込んでいるか、衣服に付着したまま生活しているという事になる。
体内に入ったら、放射線は、線種に関係なく物質の原子核が崩壊しきって安定するまで、
ないしは体外に排出されるまでの間被爆することになる。だとすれば、取り込んだ
ものを、如何にして速やかに排出するか、又は何に気をつければ取り込まずに済むのか
を知る必要がある。また、元素によって集積する箇所が内臓だったり、骨だったり筋肉
だったりと異なってくる。その場合、どこに集まる元素を取り込んだらヤバいのかも
知りたくなってゆくという具合だ。

だが、原子核種まで判断するのには化学分析が必要で、プルトニウムやストロンチウム、
比較的検出が容易なセシウムでもセシウム237などは通常の機器では検出すること
が困難だ。福島第一原発の周囲で、プルトニウムが検出されるまでに、事故から何週間
経過してからだったか思い出してみると、よく判るだろう。


また、海洋放出した低レベル汚染水。これだけの線量だったら浴び続けても 大丈夫
というような報道だったかと思う。けれども、水から出る放射線だったらこのレベル
ですよという話であって、魚介類などによる生物濃縮を無視した詭弁でしかない。
ホウレン草は、それのみを300年食べ続けても計算上は大丈夫なのかもしれない。
けれども他の食べ物にも放射性物質が入ってくることを考えると、それも成立しない。

人間は、他の動物と違って様々なものを食べる。それは、食物連鎖の底辺にいる生物が
食べるものから、上のほうの生物が食べるものまでと万遍無いので、必然的に放射性
物質の影響を受けた食物を摂取する度合いは、他の生物よりも高くなってくる。
ここまでくると、何をもって安全に過ごせるかなど誰も知り得ない。
 

要するに、この国は何千万人かを使って臨床試験を始めたような状態になっているという
事を嫌でも認識せざるを得ない。おそらく、全く放射性物質を取り込まずに生活する事は
困難を極めるだろう。その上で、自分はその事実とどう向き合い、適切な情報の取捨
選択を行ってゆくのかと言うような主体的な生き方を考えたほうが余っ程賢明だろう。
それを実践するためには、やはり総合的に物事を知っておく事が最も大切なのだ。
  
  
 
見えぬものは怖い。実態のわからぬものも怖い。だからと言って、それから逃れたいが
故に、全てに対して疑心暗鬼になり精神を疲弊させるのも、良い生き方とも思えない。
そんな状態の人の事を、自分で勝手に【妄想被爆】とか【放射能シンドローム】と呼ぶ
ようになった。そのストレスが原因で疾患に陥るのなら、それだって被爆しているのと
似たようなものだ。そんなケースが増えれば、その人の周囲にいる人だってどう接して
良いか困るに決まっている。人に対しても、核物質の取り扱いと同じような繊細さを
要求されるとなると、一般人にもカウンセラー的な能力が必要になってしまう。

これは、原発周囲で実際に暮らしている方々から反感を抱かれても仕方が無い言い回し
なので非常に心苦しく思う。そして、どれだけ原発から離れていようとも、この類の
人が増えているという事も、やっぱり悲しいのだ。
 
 
 
また、原発をやめろという運動も盛んになってきている。将来的に無くなるのは
大歓迎だが、反対運動に乗じて闇雲に廃絶を訴えることについての問題もこの際
記しておくので、以下も興味があれば読んでみると良い。
 
まず、原発はすぐに無くなるものではないし、運転を止められるものでも無い。
その理由としては、

ストックしてあるウラン燃料を使い切る → 使用済み核燃料を再処理してプルトニウム
燃料を作る → 現在ある軽水炉発電所でプルトニウム燃料(MOX燃料)を燃やして
使い切る。 → 原子炉を冷却する → 建造物の構成部材を含む全ての放射性廃棄物
を保管する場所を確保する → 施設を解体する
 
というプロセスが必要だからである。仮に今すぐに運転を止めたとしても、核燃料は
残る。すると、いつでも核武装出来る国として、周辺諸国から疑惑を持たれ、日本は
孤立する可能性が高まってしまう。また、使用済み核燃料からでもプルトニウム爆弾を
製造することが可能なので、核を平和利用していると証明するため、現在までに再処理
工場を建設したり高速増殖炉の研究を行ったり、軽水炉でプルトニウム燃料を燃やせる
ようにしたりしてきたという訳だ。もしも核武装して鎖国状態にでもなったら、周囲
からは北朝鮮などよりも厄介な国だと思われる事はほぼ間違い無い。また、そんな国に
なる事を望むような人も少数派だろう。
 
また、放射性廃棄物の捨て場所を確保し、遠い将来に渡って管理してゆく体制づくりや、
エネルギーシフトも併行して整えてゆく必要がある。それに必要な時間を考えると、
当面は原発を稼動させる必要が生じても仕方が無いだろう。
現実に、自分や子孫が、将来放射性廃棄物の管理を担う必要性があり、それを認識
することを迫られている状況だと知っておいて欲しい。自らと原発は切り離して考え
られないのである。もう、これまでのような生活は出来ないと思っていた方が良い。

因みに、最後まで稼動し続けるであろう、軽水炉型発電所の基本構造は、長崎に
落とす原爆を製造するためのプルトニウムを取り出す為に作られた原子炉の冷却系に、
発電用のタービンを設置しただけのものである。この国は、ウラン・プルトニウム
両方の原爆を落とされたのにも関わらず、その呪縛からずっと解放されずにいる。
それに気付かず、恩恵のみに注目していたなど、随分と間抜けではないか。

 
 
原発推進も、次世代クリーンエネルギーとして一大産業化するための国策だったと
するならば、反対派も、何も提唱せずに猫も杓子も煽動するだけという構図。
それはイデオロギー同士が対立しているだけに過ぎない。それを以って、将来に向けて
建設的な議論が出来るとは、とても考えにくい。
だから、何も知らず、考える事をせずに行動するのは、この上なく危険なのである。
どんなに憤りがあっても、もう原発のせい、東電のせい、国のせいとばかり言っては
いられない。
 
 
  
・・・かように、核の影響とは測り知れないものだったのかと、書いてみて驚いている。
 
 
 
いずれにせよ、人はこの先も何がしか苦しい思いをするのだろう。
その苦しい時間が、長いか短いかという違いは、そんなに切実な問題なのだろうか。
もしも、どちらかが選択出来るというのなら、自分は厄介なものとでも上手に付き合い、
生に固執せずにやんわりと死んでゆく方を選びたい。
  


そのために、今の自分が出来る事はやっぱり高が知れている。

北風の日や、原発の動向がおかしな日は、マスクをつける。衣服や建物の外壁・車など
はよく洗う。ヨウ素を含んだ海草や、カリウムの多い野菜を食べ、悪性物質の吸収を
減らす。悪性物質の体内残留時間を減らすために、食物繊維をしっかり摂取する。
魚や肉の内臓や骨に近い部分はあまり食べない。雨に当たったらすぐ風呂に入る・・・。
ああ、もう遅い時間だ、よく眠ろう。

なんだ・・・あんまり普通の生活と変わりは無いじゃないか。あと勉強をしよう勉強。
それにしても、どこが就農者ブログなのだろうか。



 
※ 当記事は、飽くまでも筆者が書いた時点で知り得たこと及び主観が書いてあります。
  従って、一部内容に、不確実あるいは不正確な表現も含まれている場合があります。
  その点については、デマ・風評被害の波及を回避するために、より確かな情報が
  得られ次第、予告なく記事内容に改廃を行うことがある事をご承知ください。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://inaka-nikki.net/mt/mt-tb2.cgi/1563