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#295 都合

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川原に行って、キレイな砂利を拾ってきた。
これを水槽に使えばさぞかし映えるだろう。何を飼おうかな。
 
 
 
というのは嘘で、これらは虫にやられた米である。
穂に実が入ってゆく機関に、モミにについた汁を吸われるとこのように黒っぽくなって
しまう。味への影響はほとんど無いものの、これが多く混じっていると外観品質が
大きく損なわれてしまう。気になる人にとっては、見てくれの印象が良くないと、食べた
時の味もやはり変化するものらしい。

みんなこれで悩む.JPG

色彩選別機を使用すれば、除去することは出来ると言うが、それは200~300万円も
するような高価な機械。普通の栽培者では手が出せない。仕方ないので、精米中に目に
付いたものをある程度除去していた訳だ。一粒ずつ手でつまみ出す面倒な作業だが、
循環式の精米機ならば、比較的取り出しやすい。

今年は、昨年よりも被害が多かった。混入の少ない米は、大方先に売れてしまったので
これから出荷する先のお客さんには、申し訳無い気持ちである。


農薬を使っていないから混ざりやすいと言ったところで、ただの言い訳でしかない。自分の
管理手法が未熟な部分も多い。だが、防除の薬剤を散布した田んぼの米にだって、かなり
の被害が出るのだから、色彩選別が出来ない農家さんにとって、これは常に悩みの種だ。

これが混じった米を販売する際、例えば現在の自分は個人向けの発送しかしていないので
個別に説明すればある程度の理解は得られるが、仮に飲食店等に出荷するとしたら、
そのままでは店の信用にまで関わってしまうので、特に気を使う必要が生じるだろう。

 
そして、こちらには見てくれが悪くても売価を簡単に下げれない事情もある。
だから、注文を頂いた際に、予め状況を伝えておくか、米袋に注意書きをするようにした。

別に、お客さんを選んでいるつもりは無い。ただ、何も伝えないで文句を言われるのが
嫌なだけである。勿論、その上での苦情は真摯に受け止めなければいけない。

透き通って、変色していない米が当然だと思っている人は大勢いるし、そういったものを
提供出来るのがプロの仕事だろう。但し、栽培する者は行った仕事の価値というものを
ある程度考慮してもらえるような努力を、もう少し行っても良いのではないだろうか。
それが出来なければ、適正な労働の対価は得ることが出来ない気がする。

《余っている》とか、《栽培が容易なもの》としてしか買い手から認識されなければ、
何をどう工夫したところで、安く買い叩かれるのは間違いない。


果たして、それで仕事に熱意が生じるだろうか?
とにかく大量に手間をかけずに栽培し、収穫が済んだら一気に換金してそれでおしまい。

そんな感覚で栽培し、自ら売る努力もしない者が大勢いたら・・・安くなって当たり前
だろうに。米の価格が下落しても、肥料・薬剤・培土・燃料・機械償却費等は横ばい
或いは高騰してゆく。補助金を当て込んでみても、出たら出たぶんだけ値切られる。


イネとて生物である。こんな境遇で栽培され、人の口に入ってゆくのではいたたまれない。
だから、自分は栽培した結果がどうであれ、それを伝えるまでが仕事をする上での責任
だと感じる。

ここ一連のコメ騒ぎも、誰が悪いと言う感じでも無さそうだ。
現状の問題点としては、大まかに言うなら生産者と消費者が自分の都合ばかり優先させて
互いに無関心となる状態が続いてきた事。また、世間もそれに併せて《問題に気づく機会
が無くても、日ごろの生活にあまり支障が無い状況》へと次第に変化した。

だから、生産者は牛丼一杯が200円に迫ろうというご時世になってから大慌て。
消費者の財布は軽くなるばかりなので、食料が安くなれば万々歳。


誰にとっても主食であるはずのコメだが、どうも、その主食である事のみが国民の共通
認識だというのは腑に落ちない話である。

巷の報道もマチマチである。市場開放を受け入れ、農産物は集約管理でコスト競争力を
強化すべきと言う向き、現在の惨状を嘆いて擁護せよという向き、高級志向に転じて
内外の富裕層向けに特化することで収益を確保するという向き・・・。
ただ、これまで述べたような切り口のものは余り見聞きした事が無かったので、今回は
敢えて書いておいた。

 
自分にとって有用な情報ばかり集めて、それ一辺倒の支持をする人があまり増えな
ければ良いのだが。《誰が何しようが構わない》という感覚が農村にこれ以上蔓延したら
その時点で農業は地域を巻き込んで崩壊してしまうだろう。
 
 
 

とまあ、そんな事ばかり考えるのもやはり疲れるし、眠る時間も短くなる。
こちらは当面、作業品質の向上を図るべし。それ以外に出来る事はそんなに無い。


どんどん引っ張ろう.JPG
 
先日調整したトラクタで、田んぼに入ってみる。
結果は上々。耕深も安定するし、窪んだ部分へ土を引っ張ってくるのも楽になった。
(写真では、わざと引っ張った土を盛り上げているが、本来は徐々にロータリーを
持ち上げて馴らしながら引っ張って平らにする)

やっぱり、面倒でもやっておかなければならない事だった。
面倒臭いという感覚をいくらかでも弱く出来て、もっと体力がつけば、色々と出来る事が
増えて面白くなりそうだ。難しいけれども意識して暮らそう。

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