田舎日記ホーム >>> 田舎生活 >>> 新規就農者ブログ >>> #294 道具のあるべき姿とは

#294 道具のあるべき姿とは

| トラックバック(0)

トラクタの作業機を真面目に調整する事にした。
既に車齢20年弱、二千三百時間も稼動した機械なだけに、色々な箇所が狂って
きている。

ロータリーは、モンロー(油圧による左右傾斜機構)を水平の位置にセット
しているのにも関わらず、かなり傾いている。これまでは、調整が億劫だったので
テキトーにモンローを操作して何となく水平っぽくして使っていたのだ。しかし、
これが、実に扱いづらかった。一度でも、ロータリーを傾けて使用してしまうと
もう水平は出ない。何しろ田んぼや畑では、トラクタ本体が水平を保てない。
その場で何となく水平を調整したところで、地面の状態によって、いくらでも
狂ってしまう。これでは耕した部分はデコボコ。折角の自動水平/耕深制御も
宝の持ち腐れである。


ロータリー等のトラクタ後部に装着する作業機は、たいがい標準3点リンクと
呼ばれる機構を介して装着されている。これは、現物を見ないと判りづらいと
思うが、イメージ的には、油圧の昇降アームと連結された上部の棒(リフト
アーム)と、それを支える下部左右一対の棒(ロワーリンク)が作業機を連結
していると思えば良い。

やることは簡単なのに.JPG
 
それら三本のアームは、各々の位置や長さを調節出来るようになっている。
作業機を交換した場合などは、それで微調整が行える訳だ。
 
 
一応、少し拡大した写真も撮っておいた。

これじゃ判りにくいよね.JPG

ただ、これは3点リンクに更にオートヒッチが装着されているので余計に
判りにくい。アームの位置関係だけ、何となく見えれば良し。

 
 
傾きは、左右のリフトロッドの長さを変えて調整する。

左リフトアーム.JPG

この、リフトロッドがかなり錆びて固着しており、更にその上から再塗装された
状態だったので、簡単には回せず面倒で放っておいた訳だ。しかし、背に腹は変え
られない。ロッドを取り外し、清掃してから油を差しながら少しずつ回し、機能を
復帰。地味に時間がかかる。

調整は簡単でも、なかなかそこまで辿り着かないのはポンコツ使いの宿命か。
 
 
 
そして、右リフトロッドを回して、傾きを直す・・・と、もう調整限界だ。

右リフトいっぱい.JPG

ロータリーは、まだまだ傾いたまま。揺さぶっても、モンロを動かしても駄目な
ものはダメ。しかし、別に慌てる必要は無い。他にも調整する箇所はある。
 
 
 
要するに、この場合は、リフトロッド以外にも、狂っている箇所があるという事。
冒頭に、モンロの水平位置がおかしいと書いたが、作業機の傾斜量を検出する
センサーの校正(ゼロ点位置)が狂っている訳だ。これは、経年変化などでも発生
しやすい事を覚えておこう。機械自身の感覚は、人が思っているよりも狂い易い。
時々確認して調整してやらないと、どこまでもおかしくなってゆく。電子制御の
箇所が多い場合は尚更である。

この時点で、右リフトロッドは調整限界よりやや戻しておいた。
 
 
スピンドル状のセンサーは、信号のオンオフでは無く、リニアに抵抗値が変化する
ポテンショメータタイプ。作業機の角度を変える為の油圧シリンダと並んで設け
られている。右の太い筒がシリンダ。その左側にある二個のナットで、センサーの
位置を調整する事が出来る。

センサーも後がない.JPG

調整時はエンジンをかけ、油圧がかかった状態で、モンロの自動(水平)制御を
オン、角度ダイヤルは中立にしておく。この状態でネジをいじくっていると、少し
ずつ作業機の角度が変化するので、適当な位置で固定すれば良い。
それにしても、丁度良い位置は、またしても調整限界ギリギリである。


どうせなら、最後は目見当ではなく、レベルを使おう。
レベルは、ロータリーカバーに乗せた。

校正完了っすわ.JPG

これで申し分ないはず。だが、次回狂った場合は調整出来ないかもしれない。
その場合は、加工して対応する覚悟が必要になる。
 
 
 
その次に、トップリンクの位置も調整する。
PTO軸の傾きが、出来るだけ水平に近くなるようにしておく。
 
トップリンクも適正に.JPG

ここもロッドが調整限界・・・。
この作業機はそういう仕様なのだと無理矢理納得。 
 
 
 
 
作業場が完成して以来、トラクタは野ざらし。
作業機も本体も痛みが進んでいく。早く格納庫を建てねば。
 
意外と華奢に見える.JPG

トラクタはもちろん、バケットローダやドライブハローの各部へ作動油を
かけまくる。これ以上錆びませんように。
 
 

朽ちた機械を見て心が安らぐ人も大勢いるようだが、こちらは仕事。次第に
オブジェ化して土に還ってゆく道具ほど悲しい物は無い。

まあ、使われなくなった道具を眺めるにしても、見る者がそれらが現役だった時代
へと思いを馳せたくなる位まで腐っていなければ趣が薄い。中途半端な痛み方では
常人は愉しむべくも無いのだ。

だが、その中途半端な過程をも愉しもうというのなら、見事なワビサビ人だろう。
それは盆栽の逆バージョンとでも言おうか・・・一杯の粗茶が冷めてゆく様すら
愉しみの対象であるなら、自宅の庭で機械を腐らせる事もまた一興である。

自分が死んだ後、機械が山のように取り残され、子孫がそんな道に走る事を
ふと想像してみたが・・・それも悪くは無いかもしれない。ただ、今は使いたい。
 
 
 
そう、腐りかけのものを、また使いたいという人もいるのが世の摂理というもの。
先週、畑を貸してくれているおじさんが直してくれと、えらく古い動力散布機を
持ち込んできた。昔から家にあって、長年使っていないものらしい。
例えこれがガンダ屋に落ちていたとて、自分なら絶対に拾ってはこないであろう
長老クラス。小さくてもその姿は実に堂々たるものだ。


ひょっとして年上?.JPG

事象は、始動不能・燃料コック/チューブ破損・シャッター不良。ついでに
始動を試みまくったようでリコイルロープ切れ。
 
 

『あの、これ直してどうするんですか?部品代かかりますよ。』

 
「落ち葉を吹っ飛ばしたり、焚き火に火を入れるのに使うんだ。薬とか肥料は
 撒けなくていいから。」

いやはや、大した感覚である。朽ちゆくものも人は見捨てず。そして細かな純正
部品なら一応まだ出た。ただ、直すのはこちらなんですよね。手間代出ませんか?
 
 

これが乗っかっている作業台は食卓兼用。食事の最中にこれが視界に入るのは
嫌なので、ここの所はPCで動画などを見ながら食事をするようになった。
こうして、どんどん行儀が悪くなってゆく。これでは崇高なワビサビ道など
到底極められる気がしないのであった。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://inaka-nikki.net/mt/mt-tb2.cgi/1295