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#268 農と業のはざまで

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みんなの第二田んぼの水が、横の田んぼのおじいさんによって強制排水されてら、しばらく経った。
流石にガスも抜けてきただろうし、雑草も伸びてきた。植えた時期の遅いイネは、まだまだ分けつ
する。いつまでも干している訳にはいかないので、えぐられたアゼを埋め戻す。

水はなくとそれなりに.jpg

あまり沢山水を出すと、またクレームが来ると思い、しずしずと用水のバルブを開けるが、何故か
既に水の入る音が聞こえる。そして、横の田んぼを見ると、隣の田んぼも、ざばざばと勢い良く
水を流し込んでいるではないか。
 
慣行栽培ではこの時期、登塾を進めるために間断灌漑と言って、田んぼに水を入れたり
抜いたりする。向こうは単にそれを行っているだけとは言え、何か腑に落ちない。
 

『人の田んぼの水を勝手に抜いておいて、それはないだろ。』
 
 
遊びでやっているように見えるかもしれないし、そんなに収穫も上がらないかもしれない。
そうやって考えてみると、向こうはこちらを舐めているという風にも思えてくる。
陰口も、好き勝手な手出しをされても、それだと納得が出来るのだが、それは気分の良いもの
では無い。いじめっ子にちょっかいを出されるのと本質的に同じようなものだからだ。
 
 
しかし志は高い。でなければ、長年耕作放棄していたヤブを田んぼに復元したりはしない。
あまり気にせず続けていたほうが面白そうだ。
 

それに、こんな事を考えたくは無いが、隣のおじいさんはあと何年かしたらおそらく耕作出来なく
なるだろう。そう、嫌な上級生が卒業していくかのように・・・。
  
 
 
『なあじいさん、文句を言う矛先が違かろう。責めるべくはこんなヤブをこさえてしまった土地の持ち
主とか、後継者を育てる努力も何もあったもんじゃない政策とかあんたら自身なんじゃないのか?』

 
いつか必ず言ってやろうと誓う。

 
 
今日の工事が終わったら、また草刈りに出かける。
 
 
ヒエを抜きにきていた、兼業の親切なおじさんと、しばし話す。
 
 
 
「人見くん、あんなんじゃ米も採れんめえ。食ってかれんのか?」
 
 
『正直この管理では無理ですね。』
 
 
「ほんだら、無農薬もほどほどにして普通の米も作らないと。手間ばっかかかってしょうがあんめ。
 収穫が少なかったらいくらにもならんし。」
 
 
『今年は更に工事までやってるので除草が途中で滞ってるから大変なんですよ。自己資金も
 底を突きました。』 
 
「このままじゃ続けられんだろ。来年もやるのか?」 
 
 
『続けますよ。こちらだって田んぼがあんな管理ではいけないと分かってはいるんですけれど
一人で全くゼロの所から始めてるんです。最初の2~3年は栽培方法の習得と設備を整えるので
精一杯なのは仕方が無いと思ってます。』
 
 
 
・・・つくづく色々な所で人を心配させているのは情けなくもあり、有り難い事でもある。
そして、都度皆さんからj様々な助言や忠告を頂いたり、愚痴を聞かされる訳だが、その内容が
以下のようになんともアレなのだ。カッコ内は心の声
  
 
・水稲で新規就農なんて自殺行為に近い。
 (本当にそうなのか、自らを実験台にしている最中です。とりあえず死んでません。)
 
 
・米なんぞもうからん。この国の農業は終わる。
 (普通の方法だとそうなるのは計算してみれば直ぐ解かるので、コストのかからない方法を
 試行錯誤しています)


・こんなご時勢に何でこんな事を始めたのかさっぱりわからん。
 (誰か続けていかないといけない事なのに、全くやる人がいないという前提で話をしないでください)


・アンタはマトモっぽいから普通の仕事をしろ。
 (マトモじゃないから何不自由の無い会社を辞めたのですが、元に戻れとでも?)
 
 
・どうやっても無理。米の栽培を覚えるのはいいが、それで食おうとするな。
 (農家さんはみんな、趣味で主食を栽培しているんでしょうか?)
 
 
・とにかく高く売れる米を作れ
 (大勢の人が買えるような金額で販売して自立した生計を立てることが出来なければ、これから
 コメ作りを始めようとする人が減ってしまいそうなので、賛同しかねます。自分だけ高く売って
 どうこうしようという考えなら、そもそも今みたいな仕事の仕方はしないでしょう。)
 
 
 
読んでいて気が滅入ってはこないだろうか?既にこれを2年近く言われ続けてきているのだ。
これに心が折られた人も、意外といるだろう事は想像に難くない。


現状に対して否定的な声ばかりで、将来についても見通しは全く無く、全体的に暗い。
従って、建設的な意見というものもあまり出てこない。例え自分の親に相談しても、である。

【どうにもならない前提】で仕事に取り組む馬鹿が何処にいるのだろうか?
それとも世の中は、その考え方の方が大半を占めているのか。
 

そこで、自分は【必ずどうにか出来る方法がある】 という前提であり続ける必要が生じた。
今では、将来に渡ってそれが示せなければ、殆どやる意味が無いとさえ思っている。
 
 
確かに現在の状況では、まともな生計は立たない。けれども、しっかりとした耕作が出来る
だけの下地はほぼ整いつつある。また、資材や機械に余計なコストを掛けない為のノウハウも
少しずつ得られ始めた。

今年になってから、やたらと実験的な事ばかり行っていたが、あれは将来必要になる基礎技術を
得ようとしていた訳で、何も趣味ばかりでは無い。


言うなれば、現在は【農】でも 【業)でも無い過渡的な状態。
 
 
【農】サイドは、自給による自然回帰や趣味的な色合いの濃い視点。
【業】サイドは、経済的に自立・発展していく視点。

 

どちらから見ても中途半端なのだから、色々と口を出したくもなるだろうと思う。
けれど、育つ速度というものは人によりけり、そうそう変えられるものでも無さそうだ。
そして、単なる【農業者】になるつもりも毛頭無いのである。
 

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昨日は広島、明日は長崎、過去をの記憶を
鮮明にし、未来をこころざす。
 いつの世にも必要だが、今それが最も大事な時代。
 「水と米」手をあわせたくなる。
 ブログをみていますよ。
     ひとみたつお  10.8.7朝

いつも熱心に読んでいただいているようで感謝しております。

老いて惰性的に稲作を行っている人をよく見かける中で、志を死ぬまで
持ち続けていたいと強く思う今日この頃です。

それに、別に先が見えない訳でも無い。
ここで色々と人と違うことをやっているだけでも、気づく事は色々あって
各々、しっかり光明どころか鮮明な色がついていたりします。

それはまあ、まだ本人にしかそう思えないような小さな事かもしれませんが
そういったものを拾って繋ぎ合わせていかないと、いけません。
それが出来て、やっと周囲は安心するのでしょうか。
 
 
工事も乾燥機の移設も、予定より遅れてはいますが、滞っている訳
でもなく進んでいます。またこちらに来た際は、不用意に焦らずに
力を貸していただければ私の精神衛生上、大いに助かります。

何かあったときの事もちゃんと考えて進めてますよ
2の手3の手4の手・・・。

どーも人見君!
田んぼや生コン施設との格闘、毎日ブログチェックしてますよ。

田舎の親父たちは、自分たちの経験したものの中で人生が成り立っているからね。
異質な者が現れるとあーだこーだ言いたくなるのよ。
俺も色んな親父からあーだこーだ言われたけど、大半は役に立たない情報ばかり。。。
でもごくたまに、すごく役立つ情報もあるからね。

まあ、いちいち過剰に反応しても疲れるだけなので、流すことを覚えましょう。

成田の百姓ライダー さん

ご助言、どうもありがとうございます。
ならびに返信が遅くなって申し訳ありません。

土地で暮らしていると、様々な人とやりとりする機会が増えます。
そんな中で、得られるものについては、おっしゃる通りかもしれません。

これも、新規の人や異端と思われ勝ちな農法を行う人にとっては必ず
通る道なのかもしれませんね。流す事も少しは慣れてきたようです。

誰しも知らないものは怖いし、否定もしたくなる。
そんな心境は何となく解かります。だからといって、人と同じ事ばかり
していても先が無さそうなので、結局は今後も選ぶべき道に変化は
無いんですよね。