田舎日記ホーム >>> 田舎生活 >>> 新規就農者ブログ >>> #264 されど草刈り

#264 されど草刈り

| コメント(2) | トラックバック(0)

朝夕と、大工の犬おじさんを軽トラで送り迎えするのが工事中の日課。
 
朝は、その途中でこの時期ならではの談義に花が咲く。
足元に置いてあるビクの中に、そのネタが入っていた。


マムシの季節.JPG
 
捕まったマムシをみんなで取り囲んで談笑するという、なんともシュールな内容。
草刈りをしていたら飛びかかってきたのだと言う。
草の伸びるのも早いこの時期、工事にかまけているが、そろそろまた刈り込まないといけない。
 
 
 
等と思いながら軽トラを運転し始めた時、犬おじさんに言われる。
 
 
『人見さん、田んぼの草、刈っておいて欲しいって言われてたよ。無農薬の体らは、みんな
 いっこう草刈らないってな。』
 
 
「そろそろ、穂が揃ってくる季節ですからね。草ヤブがあると虫がつくからって、気が気で
 ないんでしょう。けど、自分のとこはまだそこまで伸びてないと思うんですが。」
  

『まあ、俺は言われた事を伝えただけだけどな。けどあんまし良くねえよな。本人に直接言えば
  いいのによ。連中だって除草剤ばっか撒いてるしそれよかマシだとは思うんだけっどよ。』
 
 
「こちらはイネ刈りの時に、わざわざ草を伸ばしておいたりする位の管理をしている訳だから
 刈るタイミングは、もう少し後でいいんだけどなぁ。そんな事を話しても理解されにくいし。
 まあ、よく見える場所で少しでも伸びてる所は刈るしかないんでしょうね。」
 
 
この先も話が続く。しかし、何所の田んぼの事なのかが判然としないままだった。

昼、いつもの工事3人組で近所の蕎麦屋に行ったら、親分と師匠がいた。
 
 
親分 『よう、人見くん。草刈りしないとね。なんか色々言われてたよ。水がずっと入ってて
    こっちの田んぼの水が切れなくてしょうがあんめえとか、訳のわからないイネを植えてる
    とか。』
 
 
「水は、切りたくても切れない田んぼなんですがねえ・・・。」
 
 
咄嗟にそう切り返す。しかし、それがどこの田んぼの事なのかはその瞬間にやっと判った。
 
向風学校第二田んぼである。  
隣の田んぼの管理の仕方はとにかく几帳面で常に整然としている。
現在の状態だと、そのうち物言いがつくだろう事は、以前から察しがついていたが、朝の話
依頼自分が常時管理している田んぼの事ばかりに意識を奪われていたのだ。

確かに、冷静に考えてみれば、向風学校のスタッフが作業をしていると言っても、他人から
してみれば、自分が管理しているとしか思われない。

基本的な作業は、可能な限り彼らに行ってもらわなければ、活動本来の意味が無いが、
それを躍起になって説明しようとしても、そうそう理解はされまい。
既に物言いが既についてしまった以上、今回ばかりは、彼らの作業日まで放っておくという
ような猶予も無さそうだ。
まず自分は、この地域で生活するという立場上、は早急に対応して保身をしなければならない。
そうでなければ、彼らの活動だって理解してはもらえない。
 
 
 
その日の工事が終わり、日没も 近くなってから、急いで第二田んぼに出かけた。
すると、今まさに刈ろうとしていたアゼの草が刈り倒されている。
隣の田んぼでも、おじいさんがまだ作業していた。
 
 
仕方がないかぁ.JPG

出遅れた。隣の田んぼのおじいいさんが業を煮やして、こちらの部分の草を刈ってしまって
いたのである。l

 
 
すぐさま、おじいさんに声をかけた。

「すみません、今刈りに来たところですが手間をかけさせてしまったようで・・・。」
 
『おたくらがやらないから、うちがやる部分じゃないんだけど、刈っておいたよ。』 
 
「穂が揃う時期だから、余計に申し訳ないないです。あと、どの部分を刈っておけば
 良いですか?

『奥のヤブになっている部分を内側にいくらか。』

「わかりました。3mばかりでも大丈夫でしょうか?」

『そんなもんで良かろ。ただ、もとももとヤブだったからあんたらが耕作してくれてこちらも
助かってはいるんだけど。」
 
「けど?」

「けど、あんたらの田んぼいつまでも水が入りっぱなしだろ?おらいの田んぼさ、アゼ側の
水がいつまでも切れねんだよな。だから、溝掘って落としちまったぞ。」

そう、早稲の稲刈りは盆明け。もう、田んぼを乾かして地面を固くしておかないとコンバインが
入りにくいのだ。
 
中干ししないんですが.JPG
 
 
アゼには、見事に溝が掘られて、第二田んぼの水はごっそり落とされていた。こちらのイネは
生育も緩慢で、中干し管理も特に考えてはいない。何より農薬を使わないのだ。水を切られ
たら、その先どんな事になるかは読者の想像どおりだろう。

しかし、迷惑をかけたという認識がある以上、それに対してこちらから強く言う事も厳しい
ものがある。本音がどうであれ、ここは一歩下がらざるを得なかった。

 
まあ、未分解の草が大量に埋まっているような田んぼ。ガスの発生も激しいことだろうし
ここで水を切って有機物の分解を促しておくのも良いかもしれない。草は集団草取りに
期待し、後は無視。後はチョボチョボ水を張ることしか出来そうもない。
悔しいので、少しでもと弁明をしておく。

 
 
「ここはですね、都会のほうから人が集まって、ゼロから耕作を始めた田んぼなんですよ。」
 
『ほう。』

「だから、僕は作業の方法と、道具(機械)なんかの支援をするだけで、彼ら自身で日頃の
管理も行う事が大切なんです。ヤブ刈りも、荒起こしも、ゴミ拾いも彼らが行ってきました。
けれども、毎週のようにここに来る訳にも行かないので、そんな場合は、僕がやるしか無い
訳ですよ。」
 
『あんた、それボランティアか?』
 
「燃料とか、消耗品代とかの実費は請求しますが、後は何も。」
 
『大変だなあ。それでは仕方あんめ。もう少しお金取るとかやりようあんでねえの?』
 
「・・・とにかく、また不具合あれば、僕はそのへんにいつもいるので、呼び止めてください。」
 
 
 
何となく、こちらの状況は察してもらえたようだが、すぐ下世話な方向に話が向くのには参る。
そりゃあ、こちらにはお金なんてもうほとんど無い。しかし、一から耕作を学びたいと言って
長期の耕作放棄地を復帰させる作業まで行っている人達から、授業料などとお金を沢山
取って良いものか?更にここで真剣に耕作をしている以上、地域でのこういったコミュニ
ケーションの方法まで彼らには伝えなければならない。そして、慣れない機械作業による
ケガのリスクまで・・・。これらを理解した上で、『やる』と言っているのだから、これは正に
自己啓発であり、ボランティアの真意でもある。

そうやって考えてみると、普通の農業体験などと、レベルが違いすぎる。つまり、主体的に
耕作をする彼らに対して、こちらは必要最小限のサポートを行うのみで、客人扱いなど到底
出来ないのだ。通常の金銭感覚を持つものからすれば、これで必要以上にお金を取られれば
詐欺同然に感じられても仕方が無い。
 
 
世話はするけどサービスはしない。
双方のアウトプットを共有して今後の展開に結びつける。
  

これ以上の目的は無いから、この状況が成り立っているのだと思う。
だからこそ互いに感じた事を話し合って共に考えた上で活動していけているのだ。
そのバランスを崩してまで、活動をお金に直結させる気は全く無い。


  
 
 
そんなやり取りの後は、小一時間のヤブ刈り。
  
ピンボケ許して.JPG

境界はだいぶスッキリした。斜面は、集団作業の際にみんなで刈ってもらう。そうやって
仕事を残しておかないと。
 
 
 
それにしても、この草の管理の差は、こちらにとっては目に悪い程だ。

念入り過ぎる・・・.JPG

隣のおじいいさん、念入り法面を刈った後、更に除草剤までかけて歩いている。
それでは、土手が崩れてしまうのではないかと思ったら、法面の途中にしっかりと、段々が
つけてあった。
 
 
 
  
こちら法面は、草刈りの際、最初の足場になる部分だけを刈っておいた 
 
法面は大変ですよ~.JPG


春先に倒した桑の木がだいぶ復活していたので普段にも増して作業しづらい事は受けあい
だろう。クズも伸び放題で危険極まり無い。
 
 
 

週末の集団作業に参加する方々は、相応に注意してかかるよう。
くれぐれも、無理はしないこと。以上。
 

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://inaka-nikki.net/mt/mt-tb2.cgi/1223

コメント(2)

いろいろとありがとうございます。

また日曜日、お邪魔いたします。

よろしくお願いします。

この間の作業もおつかれさまでした。
まだ写真の整理も済んでいなくて、ブログに反映できずにいますが、
暑い中それなりに元気です。

なんというか、地域の人も、安西くんたちみたいな取り組みをしている
人達のことを良く知らないから、こんな事もたまに起こるんだと思うけど
真面目に取り組んでいるのをもっと伝えていきたいですね。

それでは、夏合宿で。