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#255 緊急サルベージ

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昨日、重機稲作オヤジ(既に呼び方ががだいぶおかしい)の所で、工事の相談をしていた際、
近所にある、中国人廃品ブローカーのヤードに使えそうな業務用の精米機が格安で転がって
いるという話を聞きつけ、帰り際に立ち寄ってみた。
 
 
精米機は、確かに転がっている。しかし、この場所の様子がどうもおかしい。鉄屑たちは
ヤードの隅に押し込まれ、その傍らにあるトラックに次々と押し込まれている。
変だなと思いながらも、若い中国人の兄ちゃんに精米機の値段を尋ねてみる。
 
 

「これは、いくら?」
 
 
『えっと、一万五千円。』

この値段は、オヤジが言っていた額と同じ。外人ブローカーながら、吹っ掛けてはこない。
これなら大丈夫そうだ。」


「じゃ、欲しいから、すぐ明日取りにきていい?」 
 
 
『うん。けど。』
 

「けど?」

 
『ここ15日まで。』
 
 
「え?もしかして撤収するために片付けてるの?」
 
 
『言葉よく判らない。ここ、15日で終わり。14日までに品物なくなる。』
 
 
これはうかうかしてはいられない。そうと知ると、ここにあるものは更に物色しておかねば
出物を逃してしまうかもしれない。

 
「とにかく、明日の朝取りにくるね。明日いるよね?あと、他にも見てっていい?」
 
 
『ずっといる。他も見て大丈夫。』
 

「どうもありがとう。」
 
 

テキトーに、周囲を見回すと、いきなりコンバインが置いてある。
遠目にも、外装の程度は良いので、すぐさま詳細チェック。

 
なんという偶然.JPG

古い小型の機種ながらも稼働300時間、クローラも山がしっかり残っておりゴムのヒビ割れも
少ない。脱穀部のこぎ胴は、塗装がまだ残っている。これは、簡易メンテのみで充分に使え
そうな上物だ。しかし、バッテリが弱っており、動作確認が出来ない。
しかし、この程度の良さ。まず動かないはずはなかろう。

ちなみに、既に同様の機種は一台持っているが、そちらは程度は良いものの古いせいか
モミの損失も多く作業効率も上がらない。仕方なく、年明けからもう一台探し回っていた所
だったのだ。
 
 
「これは?」
 
 
『5万円。』
 
 
動くなら、間違いなく買って損は無い。精米機を引き上げる時に動作確認をさせてくれるよう
親方の中国人に頼み、更に経営者の中国人とも電話で話をして、その値段を了承してもらう。
その後、すぐにオヤジにも電話をして、運搬するための積載車を手配する。
 

「ユニック、明日もってくるから。これ持っていかないで。」
 

我ながら、アホみたいな行動の早さ。なんだかもう、どちらがブローカーなのか分からない。


そして今朝一番に現地へ行き、精米機を軽トラに突っ込む。

 
はよ持ってこう.JPG

直ぐに使えるようなものではないが、分解清掃して消耗品を交換すればいけそうだ。
それよりか、気持ちはコンバインのほう。
 
 
コンバインには、思いがけないおまけが。
 
セットでゲット.JPG

積載用折りたたみ鉄製ラダー。現在使用中のアルミラダーよりもリーチは長く、耐荷重も
大きい。これの中古だけ買っても2~3万円は下らない。実は、これも単品で探していた位
重宝する物である。
 
 
 
親方にバッテリを用意してもらっている間、コンバインの細部をチェックしていると、
通りがかったおっさんに声をかけられる。
 
 
『ここは、要らないものを持ってきたらタダで引き取ってもらえるの?』
 
 
「はい、たぶん。僕は機械を引き取りに来ただけで、ここの従業員はあっちの人ですよ。
 あ、でも明日でここは引き払っちゃうそうで、慌てて拾いに来たんです。」
  

『で、兄ちゃんはこれを使うのかい?』
 
 
「これ、見るからに大丈夫でしょう。動いたら即持って帰ってこれで稲刈りします。5万だし。」
 
 
『だよな。これで充分だよな。まだまだ使えるよ。』
 

おっさんは、興味深そうに、コンバインを見ている。
いや、奥にはまだまだ手軽に使えるものが転がってるよ。 
 
ギャラリーは何処から?.JPG


国道沿いの目立つ場所なので、気になる人も多いようだ。気が付くと、数分のうちに
3人もおっさんが集まってくる。平日の朝から、みなさんそんなに暇なのでしょうか。
 
 
バッテリを接続すると、すんなり始動。
各部カバーを全て開き、作業クラッチを繋いで動作を確認。
 
きっちり動作します.JPG
 
作業、自動制御、走行共に全て作動した。
何故か、周囲のおっさんから喝采を受ける。おう、まだまだ使ってやるわい。
 
 
すぐさま親方に、代金を渡す。その脇で、他の機械はどんどんトラックに積まれていく。
 
いとおしきガラクタよ.JPG

嗚呼、君達は溶かされて天に召されるのか、それとも異国の地で余命を全うするのか。
慈しみ深き情は溢れども、私の懐は涸れ果てた。君達の行方に良い人があらん事を祈り、
最早ただただ見送る他にしてやれる事は無し。
 
 
そうそう、このように不用品を集める方々について少し触れておこう。
彼らは、適当な土地を短期間だけ借りて、その周辺地域を歩いて周り、まだまだ使えそうな
機械類をかき集めては輸出している。 その地域を大方当たりつくすと、また別の土地へと
赴いていくので 【ジプシー回収屋】 とも言える存在。回収するものは、家電製品・自転車・
電動工具・工場内で使用する軽設備・農機具や作業機、汎用エンジンと幅が広い。
それらの回収物を眺めてみると、彼らの回る先と、巷の不要品の多さ、それらがしっかりと
お金に戻る事に驚かされる。そして何より見習うべきは、彼らのバイタリティの凄さである。

しかしまあ、オヤジも負けてはいない。このヤードが無くなると知ってすぐさま駆けつけ、
水中ポンプや電動工具、ホイストクレーン等を捨て値でかっさらっていった。これには中国人
ブローカーも唖然とするのみだ。

こちらの戦利品は、他にも軽量ガレージジャッキ、削岩機、吊りワイヤ2本。
他にも気になるものはあったが、必要なものに的を絞った格好だ。
 
 
ただ気になるのは、中国人が日本にやってきて、中国製の製品を回収しているという不思議な
事実。この国は物質面での循環から見れば、既に中国の一部になっていやしないだろうか・・・。
なんとも不気味なものである。 
  


そして、ボロボロの積載車(4トン)にコンバインを積む。
ユニック付きの車は見ての通り便利なので、古いものでも生き残りやすい。中古重機を扱う
業者には、たいがいこの手の車があり、格安で借りる事が出来るので非常に助かる。
しかし年代物の車、ダブルクラッチを切らないとまるで変速出来ないのは当たり前。各部の
やつれから操安も悪く、運転には神経を使う。背に腹は代えられないので贅沢は言えない
のだが、平然とこれを借りれるようになったらもう相当な猛者だろう。とにかく、自分はまだ違う
と思っているのだがもう手遅れだろうか?

 
道具は道具さ.JPG

ヤードを出る直前、何となくブローカーの今後が気になったのだが、オヤジも同じだったらしい。
 
 
オヤジ  「次、どこいくの?」
 
 
兄ちゃん 『わからない。』
 
 
太郎   「近くだといいね。」
 
 
一期一会では勿体無いような親近感が湧いたので、軍手を外して兄ちゃんと握手しておいた。
 
「どうもありがとう。 がんばってね。」
 

昼前に、生コン事務所へ到着。
 
サルベージ完了!.JPG


以降、もう一台と同時にメンテを行おう。
 
 
一度は中国人の手に渡りながらも、すんでの所で日本にとどまったコンバイン。
奇妙な縁から、機械が次々に増えていく。

こんな事ばかりしていると、此処へやってきた目的を見失いそうで怖いのだった。

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