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#235 魔の田んぼ

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田植えもようやく終盤。が、広い方の田んぼは全然水が落ちていない。更にその下の
田んぼは、常時水を落としているにも関わらず、ようやく田植えが出来るかといった
水位。
 
水の張りすぎ.JPG
 

ここの田んぼ2枚は、最悪の条件だと周囲も良く知っている為、作業をしていると
よく話し掛けられる。 
 
 
 
「なんだ、植えるのか?全然水が落ちていないじゃないか。あっちの田んぼはまだ
 水が入り切ってないし。」
 
『はあ、午前中は病院に薬をもらいに行っていたもので。先に小さい方から。』
 
 
「代、こんなもんでいいのか?」
 

『はい、これ以上やる気はありません。すぐに草だらけになるでしょうね。』
 
 
「草もうなった(すき込んだ)ばかりだし、ガスが湧いて根っこが痛むぞ。」
 
 
『いいんです。とにかくここは耕作すればそれでいいんです。』
 
 
「そんな方法では、肥やしも勿体なかろ?」
 
 
『なので、肥料は入れません。』
 
  
 

何という不真面目な奴かと思われるのかも知れないが、正直それ以上の管理は出来
そうも無い。ここまで、この田んぼ(2枚あるドブ田の狭い方)での作業は紹介して
こなかったが、それを簡単に説明すると以下になる。
 
 
・荒起こし ─ いつまで経っても全く水が切れず、深いままないので最初から行う
        気は無かった。トラクタなどもってのほか。

・草刈り  ─ 田んぼ内にはびこった、チクゴスズメノヒエ(キシュウスズメノヒエ
        よりも大型)の、地上部の葉をナイロンコードで粉砕。
        葉を除去して呼吸や光合成を抑えるすることで、根茎及び茎の節から
        再生する最に必要なエネルギの産出を防ぐ。

・荒代かき ─ 管理機(FF500)を入れて試みたが、スズメノヒエの茎が激しく
        絡みついたため、まともに作業が出来ず、総面積の30%まで行って
        断念。ちなみに、茎は長く、うどんのように太いので簡単には千切れ
        ない。無理をすれば、またオイルシールが潰れるだけ。

・除草・代かき ─ 仕方なく、雑草が目立たなくなるまでひたすら中耕除草機を縦横に
          押し続けた。一度や2度通しただけでは、すぐに雑草が復活する
          ため、都合普通の田んぼの4倍の手間をかけてしまう。根茎は
          とにかく細かく、畦畔から侵入するスズメノヒエの匍匐茎
         (ほふくけい)は全て千切る。
          

もはや、田植え準備というよりは、スズメノヒエの除去作業でしかない。
当然、機械への負荷も高いので、早々に正攻法を止め、最も破損しても痛手が少ない
除草機メインでの管理に切り替えた。

ここは、後から自分が耕作することが決まったので、秋冬の準備作業が全く出来て
いなかった。その上、手強いからと後回しにした事もあり、相当の雑草が繁茂して
しまった。スズメノヒエは、11月まで成長を続け、株は越冬する。要するに
昨年の段階で、全面にはびこっていたのは間違い無い。もう少し早く気づければ
良かった。
 
 
また、未分解の有機物残渣が多いとガス(硫化水素)が発生する。ここは、ずっと
水が切れていないので、嫌気性分解ばかりが促進され、ガスの発生は多く、既に硫化
水素の臭いがきつい。こんな場所に有機質の肥料を混ぜ込んでもガスの発生が増える
だけになりそうなので、しばらく生育状況を見てみるまで、肥料を入れる気にもなら
ない。さっきの農家さん、ガスの事を自分で言っておいて、肥料を入れないと言ったら
変な顔をしていた。入れたくても怖くて入れられないのだが、彼方なら肥料入れるん
ですかと逆に問いたい。
 
 
結果、超湿田での冬季湛水・不耕起・無肥料栽培という突拍子も無い農法を行うしか
選択肢が無くなった訳である。
エコロジカルなのか、ただの馬鹿なのか、それは収穫してみるまで分からない。

 
田植えを始めて早々、田植え機が動かなくなる。車輪が深く潜り過ぎて、負荷に
負けてクラッチが術っているのだ。植え付け深さを浅くしてみても、傾向はさほど
変わらない。

 
もう勘弁してください.JPG

そこで尺角植えを止め、1速で植えようとするも、それでも発進出来ない。
仕方なく、全力で押しながら無理矢理走らせて、なんとか復帰させる。
結局、その繰り返しでなんとか植え終わるが、イネの株間はチグハグ、列はガタガタ
という、非常に見た目の悪い出来になってゆく。

そうこうするうち、ここを耕作するのはやはり機械を痛めつけるだけの行為なのでは
ないかという気持ちがどんどん膨らんでしまい、最終的には田植えなどどうでも良く
なっていた。壊さずに済んだだけでも良しとするか。

 
 
ところで、ここに使った苗は例の完全屋外育苗のもの。
ようやく出番が回ってきた。

屋外育苗でガッチリ苗.JPG

根の張りも良好。ただし、植える際にだいぶ根が引きちぎられてしまうので、気休めか。

 
植えられれば良し.JPG

さて、どのように育つのか・・・思えば、ただでさえマトモな管理をしていないのに
その作業内容ですら、田んぼによってマチマチ。狙わずとも実験的なことばかり
している事に今更気付いたのだった。
 
 

完了後、他の田んぼで作業をしたり、昼食を摂ったりして4時間程置いてから、今度は
広い方のドブ田に取り掛かったところで師匠が様子を見に来た。
 
 
「おお~、ここ植えたか。よくやった。」
 

『もう意地だけですよ。とても普通の方法じゃ無理です。』
 
 
「ここは猛者しかやらない田んぼだからな。しかもその人達ですらサジを投げてきた。
 大したもんだよ。みんなどうなるか良く見てるぞ。」
 
 
『確かにここにいると、よく見られるんですよ。それにしても機械をぶっ壊すためにある
 ような田んぼですね。』
 
 
「だからみんなここでは痛い目を見てる。歩行の田植え機すら出せなくなる魔の田んぼ
 だからな。まさに最凶。」
 
 
『秋はどうすればいいんでしょうかね?』
 
 
「ここ、コンバイン入れるぞ。早いうちから水さえ切っておけばなんとかなる。」
 

どうやら、雑草を沢山出しても構わないから早期から水を落とし始めるのが良い
らしい。真夏の炎天下での溝掘りも覚悟しておかねばなるまい。
 
 
 
広いほうの田んぼは、ここに比べれば、まだ安定して作業が出来た。 
 
やっとここまで.JPG
 
これで田植えも残すところあと一枚。もう収穫量など気にせずのんびりやらせて
もらおうか。いや、そろそろ梅雨だ、流石に疲れてきてはいるが、早く済ませよう。

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