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#20 生き様は頑な

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朝、お世話になっている農家さんの田んぼの見回りに、おじいさんと一緒に出かけた。
水位などを見て回っていたが、おびただしい残渣が浮いている田んぼがあった。

除草剤を使わずに栽培をするということは、管理の見極めを外すと、
ものすごく雑草が生え、すぐに圃場が埋め尽くされてしまう。
仕方なく、管理機で田面を叩きなおして、水を張り、草を浮かせたのだろう。

残渣.jpg

早速、私は熊手で除去を始めた。
おじいさんはかなり興奮気味だ。

『これは、もう一度、トラクターを入れ直さにゃならん。』

太郎 「でしょうね。すぐ作業できるように、残渣をみな出しちゃいますよ。」

『ここも水位を下げて。除草剤が効かなくなる。』


そういえば、何枚か田んぼを見て回ったのだが、深水で管理している田んぼは
ことごとく、水を落としてと言われた。
おじいさんは、飽くまで除草剤を使う前提で作業を進めようとしているようだ。
(実際は使用していないのだが)

『うちのあんちゃんは、なんぼ言っても言うこときかないんだよ。』

「・・・」

『よその田んぼ見てみろ。こんなに草を生やしてるのはうちだけだ。』

「確かに、そうですね。」

『ここまで生やしちまうと、採れねえんだよ。』

『作物には、人となりが良く出る。こんな罰当たりなことをしちゃいかん。』


激昂して、震えている。そして、とても悲しそうな目をする。

自分にできることは、ひたすら手を動かしながら、相槌を打つことのみ。
無農薬の管理を学びに来たと、この場では口が裂けても言えない。
ただ、こだわりをもって米を栽培してきた人なだけに、怒っている気持ちは
とても理解ができる。

これは、栽培に対するアプローチが180度異なる者同士の意地のぶつかり合いだ。
そして、対立するものは親子であるということ。


家族中で慣行栽培をしているところから、有機栽培への脱却を計ることがどれほど
大変なことなのかが察せられる。


そして慣行栽培で何十年もやってきているプロの眼からは、雑草まみれで雑然とした
田んぼなど、到底理解はできないかもしれないとも思う。

あんぜん・あんしんの無農薬の作物は皆欲しがる。
けれど、実践しようにも家族が崩壊するかどうかの選択を迫られるようでは
慣行栽培を行っている農家さんが、おいそれと手が出せる領域でもなさそうだ。

その決断ができる人は、とてつもなく強い人だ、と。

別に、自分は慣行栽培を否定する訳ではないし、その管理技術だって知っていて損はない。
どうせ空っぽの状態だ、歩み寄りをもって、色々と学ぼうか。


生き様は頑な.jpg


一通り作業が済み、自分の田んぼへ移動するときに振り返った。
そして、軽トラの窓から写真を撮った。

年齢を省みず、気を張って作業しているおじいさんの背中が、トラクター越しに
語っているようだったから。

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