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#159  田んぼ探訪記

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神奈川の友人が、千葉県南部で農地を探している。
アクアラインを使えば、神奈川からもアクセスが良く、週末などに通って作業する
場合でも、通える圏内なので丁度良いからだと言う。

今日は、農地つきの宅地を見に行くとのこと。面白そうなのでついていった。
足を伸ばす機会の少ない場所なので、丁度良い。行くのは一年半ぶり。
いつも、ここの田んぼばかりにいないで、他の場所もよく見ておこう。
 
ゆうべは、北総地域で新規就農を果たした方々と大勢会い、その友人も一緒に遅く
まで騒いでいたので寝不足気味だったが、その時のままのテンションを保ったまま
車を走らせる。


現地に到着すると、物件を扱う不動産屋さんが既に待っていた。
宅地350坪(建物なし)、畑500坪、田んぼ900坪のセットである。


宅地と耕地セットでないと売れません

谷合いにも関わらず、全体的に日当たりも良く暖かい。
畑の部分は水利を若干改良する必要があるが、県道に面した好条件。
県道は車及びツーリングライダーやサイクリストの通行も多いが、周囲には店舗
らしき店舗が何も無い。耕地で採れたものを利用した飲食店などを始めるのも
良いだろう。

但し、この物件はバラ売りが不可。そして必ず住民票をこの町に移し、常時耕作が
可能な者でなければ売らないという条件つき。従って、別荘地だとか、財産に裕の
ある方に時々見受けられる、【来たる食糧不足に備えるためにとりあえず確保する】
というような形での購入希望者は、ご遠慮願いたいとの事であった。

少し理不尽に感じる方もいるとは思う。しかし、しっかりした理由もある。
この地域では、確保した土地に残土を運んできたり、産業廃棄物を捨てたりする輩も
多く、住民も自治体も常にそれを防衛する必要に迫られているのだ。

昨年も、有害な汚泥や化学物質の入ったドラム缶を山の上に密かに運んできて、大量に
投棄した悪質な業者がいたらしい。この事件の犯人が見つからなければ、その投棄物の
回収は最終的に県が行う他は無く、その費用には当然血税が使われる。


現在の農地法では、耕地の貸借及び売買・転用について厳しく規制が行われている。
大規模資本の投下や、新規で耕作を行いたいという向きからは、この改正を望む
声も多い。無論、その方が良いとは自分も思っているが、反面、現行法によって
不法投棄や、作土の下にある良質な川砂の採取などが抑止されている事も見逃せない。

国が改正に当たって慎重な姿勢を保っているのには、そんな理由もありそうだ。


 
相変わらず、重たい話題から入ってしまって申し訳ない。
物件の様子の話に戻ろう。

 

田んぼは、宅地と畑から山(生活資材を得るための林)を挟んで少し離れた所に
あるので、歩いてそこへ向かう。

何処へ続く沢の道

山には、小川が流れている。山林と併せてここも手入れが出来れば、さぞかし
良い雰囲気になるだろう。


 
田んぼに到着。棚田なので、どこからどこまでが、この物件の範囲なのかが
詳細図を見ても、今一つピンとこない。友人も同じらしく、敷地を移動しながら
何度も不動産屋さんに尋ねていた。
 
 


どこまでですか?.JPG
 
別の角度から見た田んぼ。 

 
 
見事な棚田.JPG

南房総は急峻な地形。お決まりの棚田は、数年間耕作していないと言うが、草刈り
などのメンテはしっかり行っていたようで、思っていたより遥かに状態が良い。


そして面白いのは、耕地・アゼ・道端・土手・・・至るところに水仙が自生している
こと。昔の人が、至るところにこれを植えていた名残り。草刈りの際に、これを
刈らないよう配慮していた様子も、この田んぼでは良く伺える。


水仙の名産地.JPG


水仙は、この地域の特産物。昔は、一株(一本?)でタバコ一箱相当でも売れたので
この時期は、皆あまり眠らずに集めていたという話を伺う。残念ながら現在はあまり
売れなくなってしまったそうだ。それでも、これが沢山植わっている田んぼは魅力的。
 
 
物件の確認が終わった後、ただ帰ったのでは勿体無いので、周辺を車で流す。
こんな風に回るなら、単車の方が便利だ。次からはそうしよう。 
 

近くのダムに行く道の途中で、早速見つかる。

ジブリ的風景.JPG


これぞ里山の見本というような景色。
山や田んぼを手入れをしている方の所へ、生活の様子を聞かせてもらいに行きたい。
 
 

ダムに下る途中にある谷の上から眺めた景色。

もうすぐ春ですね.JPG

昔話のような光景が、ここでは当たり前のように見られる。
水仙や梅の時期に来れて良かった。

 
 
その谷を、別の角度から見ると、このような感じ。

声も出ない.JPG

もう声も出なくなる。人間が自然に手入れをして、吊りあいが取れた状態とは
このような所のことを指すのだと思う。
 
 
絶景ポイントは無数。ただ移動しているだけでも、充分に景色を愉しめる。
 
いちいちキレイな風景.JPG


無茶な写真は、あまり撮らないようにしなければ。

 
 

こちらは、谷合いの田んぼ。
ダム側の斜面は日当たりが良いが、こちらは山に挟まれていて厳しい環境。
それでいて冬季湛水管理。春に機械が潜ってしまわないか心配になるが、
大丈夫なのだろう。どのように管理をしているのか知りたい。
おそらく、ディーゼルの耕うん機にカゴ車輪の組み合わせだとは思うが。


植わっていなくてもも絵になる.JPG

それにしても、本当にこのような田んぼばかりなので、土地の人の苦労は計り知れない。
過酷な条件で手間がかかるから景色が美しいのは間違い無い。
商売っ気を抜きにして自給的な生活をするか、観光資源として生かすために管理を
行うかが、今のところこの土地を保全するために有力な手段なのだろうが、ここの
人口は大きく減少しているという。あと何年かで、更に厳しくなるのは容易に想像
出来る。

棚田トラストなどが盛んで、隠遁生活をするために都会から転居してくる人の多い
地域では、人口が増えている。ここも充分に魅力的な土地なので、友人のような者が
住み着いて、色々面白い事を始めれば、良い流れが出来るかもしれない。


 
 
耕作していない土地もそれなりにチラホラ。

ヤブも少しは.JPG

昔の日本では、土地が空いていれば、条件が悪くてもどんどん田んぼを作ったという。
従って、耕作放棄地全てを復帰させるのが理想かというと、そうでも無い。
ただ、土地が遊んでいるのは勿体無い。自分なりに利用方法を考えてみるのがまた
面白かったりする。
 
 
 
ところで、先ほどのダムから海までは数キロしか離れていない。

そしてすぐ海.JPG

この辺りは、日本の地形の特徴を箱庭で緻密に再現したかのようだ。
食材は豊富で景色も美しい。そして温暖。農業経営者を志すのでなければ、迷わず
この地域に住むだろう。

けれど、今の谷津田も大好き。稲作という共通項はあるものの、ここの魅力というの
はまた異質のものと捉えないと、どうしても気持ちが、この場所に逃避しそうになる。

  
 
 
 

おまけ。一作年に南房総を訪れた際に撮影した写真も貼り付けておこう。

 
 


かの有名な大山千枚田。もう説明するのは面倒なので割愛。

千枚田.jpg

 
 

しかし、恐ろしいのは、他にも下のように立派な棚田が数多くある事。
個人的にはここもお気に入り。

無名の棚田.jpg


南房総を訪れるなら観光地だけでなく、周囲を散策することも強くお奨めしておこう。

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