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珍機レビュー③ ホンダF110 【ミニこまめ】 軽い・狭い・安い・誰も知らない

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まさかの本年二度目となる、珍機レビューである。

三度目の今回も、珍品には違いはないのだが、少し趣が異なる。
コレは、随分と時間が経ってしまったが故の珍機かもしれない。
いずれにせよ、登場から二十数年が経過した上での、新品レビューとあれば、このカテゴリーで構わないような気がする。
そんなもん、自分以外に誰が書くというのだ。そして誰が参考にするというのか。

 
前置きはこのあたりで止めておこう。たまたま新品状態で譲渡されたコレ。
 その名も 【ミニこまめ】。

デビューは1993年。本機はその年のモデル。安物の高圧洗浄機のような樹脂外装と、その
直下にある貧相なロータリーからして、オモチャ臭が漂ってくる。いやまあ、素人目にはこの方が
とっつきやすいだろう。

ただでさえ【こまめ】が小さな耕うん機の代名詞であるのに、輪をかけてミニ。偉大なこまめの
恩恵にあやかろうとするような安直ネーミングに、陳腐さと存在感の薄さが既に現れている。
実際のところ、後述することにするが、こまめでもフォローがし難いようなシチュエーションまで
考えて作られた機種だったりするので、その名前では可愛そうだったりもする。その上に、
あのホンダ製にも関わらず2サイクルときては、出た時点でエンジン面での正常進化は
見込めない。生まれながらにして、このモデルが短命であることを、誰よりも【ミニこまめ】自体が
知っていたのではないかと思う。

20161013_153708.jpg
 
実際、97年にホンダが自在傾斜4サイクルを目玉とした小型エンジンシリーズを発表すると、
この機種は直ぐに生産中止。そしてGX31/GXV50をただ一本足の上に乗っけただけの
ような、コレどころでは済まされない程にしょっぱい風体のFG100/200へバトンを渡している。
しかし、その二機種もデビューから四年を待たずして、外観品質、使い勝手の大幅にリファイン
された【プチな】に役を奪われて消滅。以降、そのレンジは現在までプチなが担い続けている。
更に【プチな】には、09年に派生機種であるカセットボンベ仕様の【ピアンタ】が追加され
ホンダ製家庭菜園向け機種は更に充実。市場での地位は盤石なものとなる。

登場以来ベストセラーであり続けている、そんなプチなのポジションも、この初代ミニこまめが
市場にクサビを打ち込んでいたから得られているのだと考えれば、まあコレの果たした役割を
再評価しなければなるまい。
デビュー当時、現代のように大規模量販店向きに製造される機種が殆ど無い中で、耕うん機の
エントリーユーザー拡大のために登場した先駆者であることには紛れもない事実なのだ。
そう考えれば、コイツも少しは浮かばれることだろう。

例え、展示される場所が農機屋であって、農家のおっさん達から目もくれてもらえなくても・・・。
例え、誰かが目を向けてくれても、それは一瞥されただけで、『要らねぇ』の一言で済まされても。

いやまあ、ココにあるのは死んでないどころか、新車だけど・・・どう書き進めよう
とも、流石に過去の話にしかならない。
 
 
とりあえず、新品だったので、いきなり動かそうかとも考えたが、流石に四半世紀近くも倉庫で
惰眠を貪っていたとあっては不安がある。はやる気持ちを抑えて各部を確認することに。
 
20161013_155520.jpg
 
ガワを外してみて感じることは、うん、非常にまともな作りであるということ。
こと、強度と軽量さを両立させるために、樹脂部品だけでなく、アルミ製の部品がバランスよく
惜しみなく使用されている。そして、登場時の価格も低く抑えられている。
エンジン自体は、現在でも重宝されるほどの名発電機【EX300】に搭載されたものの流れを
汲む恰好なのだが、そのもともとの設計が極めて真面目かつ繊細で、とても素性の良いもので
あることを随所より見る事が出来る。
判りやすい部分で言うと、ヒートシンクを兼ねた美しい補強リブの入るEXマニホールド。エンジン
全体を極力スクウェアに纏めるべくヘッドに沿わすような形状にされたマフラー本体。そして
テールパイプもアルミの鋳物。こんなスキの無い上に高級な設計を、現代で同じようなレンジ
の機種に求めてみたところで、どんなメーカーもそれに応えることは出来ないだろう。

なんだか、この機種・・・名前と外観で相当に損していないか?こんなにクソ真面目に尖ってる
中身だなんて、誰も想像がつく訳が無い。

 
まあいい、エアクリーナがボロボロになっている以外は特に問題も無さそうだったので、
エレメントだけを交換の上、後は元に戻し、難なくエンジン始動。ただし、シール類が劣化
していたり硬化して馴染みが出づらくなっている可能性もある。念のため、いきなり使わずに
数十分アイドリングで放置。2ストオイルの混合比は、余裕の100:1指定だが、とりあえず
50:1にしておいた。
 
さてと、どこかで試運転するか。 
 
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まあとにかく軽いこと軽いこと。これなら女性でも片手で持てるのではないか。
乾燥重量は15.5Kgだそうで。その数値は現行プチなよりもだいぶ軽い。そして、絶妙な位置に
この取っ手。軽トラの荷台にもヒョイと積める。あれ、もしかしてコレすごく便利かもしれない。
そして例によってハンドルも折り畳める上に機械自体の幅も非常に狭いので置き場所にも
困らない。
 

便利には違いないが、作業能力は過度に期待するものでも無い。耕す性能は想像通り、
それなりのもの。そして耕幅も狭い。けれども、運転中の取り回しも非常に容易。出力・深さ
ともに家庭菜園レベルでは充分に役目を果たせる実力。ぬかるみにハマったり、土手から転げ
落としても簡単に引き上げられる軽量さも良いポイント。操作系も、キルスイッチと右手側に
あるレバー一本のみの驚異的なシンプルさ。但し、作業中のスロットルは右手のレバーを
握りこんだ時点で固定されるので、事実上一定の回転数でしか作業出来ない。
これは、エントリーモデルとしての側面を考えれば順当なのだが、使用者によっては好き嫌いの
別れる部分だろう。

そして、この本体とロータリーのスリムさがキモ。ついでに、ハンドルも狭い。こまめの
ハンドルを族車のアレのように絞ったような勢い。プロ農家でも、小規模なところでは
これが存分に活かせる可能性があるのだ。

※幅については、後日比較写真を追加するつもりです。
  
20161013_164851.jpg
 
こんな機種、誰がどう見たって素人向きのエントリーモデルか、小さい畑の趣味人向けだとしか
受け止められないだろう。だが、待って欲しい。畑には必ず畝がある。畝が二つ以上あれば、
当然畝間が出来る。そう、ズバリ中耕専用機としての用途だ。

畝間に散らした肥料を浅く混ぜるのに使っても良い。単に排水目的の中耕でも除草でも。
それこそ盛大に土寄せをするのでなければ、相当中耕に特化していると言って差支え無い。
それでいて操作性、取り回し性ともに、一輪管理機などとは比べものにならない程に簡単。
いわゆるプロほどコレを馬鹿にするだろうが、プロが使用する飛び道具として見た場合、
コレは軽量さを目玉として、恐らくこまめよりも優れている部分がかなり目立つ。

そしてまた家庭用途へと話を戻すが、初心者や少しだけ使いたい人へのレンタル用としても
非常に良い。ここでも軽さと取り回しの容易さが光ることになる。
 

総評としては、プロアマ問わず、誰でもちゃんと使い道があり、この上なく人懐っこい子。
過去のレビューで紹介した刈払機のような、変態さや強烈なクセは全くない優等生と言って良い。

しかし、今更評価して、機械の売り上げがどうこうなるというようなものでもない。ましてや人に
勧めるものでも無い。もしも当レビューを読んで、コレが欲しいと感じる方がいれば、ホーム
センターなどに並ぶ様々な現行製品が、その希望を充分に満たしてくれることだろう。

自分が敢えてコレを使おうとするのは、飽くまでも、そこにあるからというだけの話。
壊れても、部品がしっかり供給されるとは思えないが、とにかく壊さない努力をすれば良い。

でもまあ、見た目はあんまり自分の好みではないのである。褒めるだけ褒めてからで
申し訳ない話なのだけれど。
 
 
レビュー④【ホンダ 刈丸UM-T12】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-703.php
 
 
レビュー②【新ダイワ RM451 山林用刈払機】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-612.php
 
レビュー①【イリノME27B-NC 逆回転刈払機】
http://agri.inaka-nikki.net/shinkisyuunou/post-380.php
 

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