普段と変わらずに作業する日々があっても、これまでと変化した部分もある。
やはり、放射能についての話題や、食物への影響について知人から質問も増えた。
周囲では、葉物野菜の出荷制限が行われたり、自発的に流通を見合わせる動きもあり
風評被害や、相場下落なども出始めている。
正直、今年のコメについては収穫してみないと判断出来ないというところでしかなく、
問い合わせに対しては、その旨をまず説明している。その後、イネは比較的放射性物質
の影響を受けにくい作目であること、それでも念を入れて、どのような栽培方法で対処
していくのかを話す。最終的には、購入者や体験参加者の判断に委ねることになってし
まうのだが、全く対応を考えていない生産者という訳では無い事だけは知ってもらい
たいのだ。
具体的な対応としては、カリウム肥料を増やして同属元素のセシウム吸収を相対的に
減らす、深く耕して表層の土を反転させるあるいは湛水量を増やして圃場の外へ放射
性物質を排出させる(粘土質鉱物に対して吸着性の強いセシウムについては効果が期待
出来ない)、遅く田植えをする(半減期の短い物質に対して若干の効果を期待する
ものの、化学的根拠は不充分)、畑の場合は、雑草や緑肥を生やして刈り取り、残渣を
圃場の外へ排出するなど。
それでも、上記については放射性セシウムとヨウ素に対しての消極的対処法でしかない。
それらの検出量は、この地域のホウレン草で規制値の1/10以下であって軽微なもの
だと言われていようとも、他の放射性物質を体内に取り込んだ場合の影響など、誰も
知り得ないのが現状である。
飽くまでも自分が知りえる範囲の事しか伝えられないので、もっと自分自身が勉強を
しておかないとどうしようも無いと常々思う。また、疑心暗鬼になってしまう人が
増えないように、誰でも出来る自衛手段も教えられるようにならなければいけない。
そこで仕方が無く、まずは高校の化学の教科書を引っ張り出してきて周期表をよく
眺めたり、見識のある知人に話を伺ったり、関連する文献を探して読むようになった。