田植えもようやく終盤。が、広い方の田んぼは全然水が落ちていない。更にその下の
田んぼは、常時水を落としているにも関わらず、ようやく田植えが出来るかといった
水位。

ここの田んぼ2枚は、最悪の条件だと周囲も良く知っている為、作業をしていると
よく話し掛けられる。
「なんだ、植えるのか?全然水が落ちていないじゃないか。あっちの田んぼはまだ
水が入り切ってないし。」
『はあ、午前中は病院に薬をもらいに行っていたもので。先に小さい方から。』
「代、こんなもんでいいのか?」
『はい、これ以上やる気はありません。すぐに草だらけになるでしょうね。』
「草もうなった(すき込んだ)ばかりだし、ガスが湧いて根っこが痛むぞ。」
『いいんです。とにかくここは耕作すればそれでいいんです。』
「そんな方法では、肥やしも勿体なかろ?」
『なので、肥料は入れません。』
何という不真面目な奴かと思われるのかも知れないが、正直それ以上の管理は出来
そうも無い。ここまで、この田んぼ(2枚あるドブ田の狭い方)での作業は紹介して
こなかったが、それを簡単に説明すると以下になる。
・荒起こし ─ いつまで経っても全く水が切れず、深いままないので最初から行う
気は無かった。トラクタなどもってのほか。
・草刈り ─ 田んぼ内にはびこった、チクゴスズメノヒエ(キシュウスズメノヒエ
よりも大型)の、地上部の葉をナイロンコードで粉砕。
葉を除去して呼吸や光合成を抑えるすることで、根茎及び茎の節から
再生する最に必要なエネルギの産出を防ぐ。
・荒代かき ─ 管理機(FF500)を入れて試みたが、スズメノヒエの茎が激しく
絡みついたため、まともに作業が出来ず、総面積の30%まで行って
断念。ちなみに、茎は長く、うどんのように太いので簡単には千切れ
ない。無理をすれば、またオイルシールが潰れるだけ。
・除草・代かき ─ 仕方なく、雑草が目立たなくなるまでひたすら中耕除草機を縦横に
押し続けた。一度や2度通しただけでは、すぐに雑草が復活する
ため、都合普通の田んぼの4倍の手間をかけてしまう。根茎は
とにかく細かく、畦畔から侵入するスズメノヒエの匍匐茎
(ほふくけい)は全て千切る。
もはや、田植え準備というよりは、スズメノヒエの除去作業でしかない。
当然、機械への負荷も高いので、早々に正攻法を止め、最も破損しても痛手が少ない
除草機メインでの管理に切り替えた。
ここは、後から自分が耕作することが決まったので、秋冬の準備作業が全く出来て
いなかった。その上、手強いからと後回しにした事もあり、相当の雑草が繁茂して
しまった。スズメノヒエは、11月まで成長を続け、株は越冬する。要するに
昨年の段階で、全面にはびこっていたのは間違い無い。もう少し早く気づければ
良かった。
また、未分解の有機物残渣が多いとガス(硫化水素)が発生する。ここは、ずっと
水が切れていないので、嫌気性分解ばかりが促進され、ガスの発生は多く、既に硫化
水素の臭いがきつい。こんな場所に有機質の肥料を混ぜ込んでもガスの発生が増える
だけになりそうなので、しばらく生育状況を見てみるまで、肥料を入れる気にもなら
ない。さっきの農家さん、ガスの事を自分で言っておいて、肥料を入れないと言ったら
変な顔をしていた。入れたくても怖くて入れられないのだが、彼方なら肥料入れるん
ですかと逆に問いたい。
結果、超湿田での冬季湛水・不耕起・無肥料栽培という突拍子も無い農法を行うしか
選択肢が無くなった訳である。
エコロジカルなのか、ただの馬鹿なのか、それは収穫してみるまで分からない。