『好きにしていいよ。』 と、言われた小さな小さな田んぼを起こすことにした。
ここは、自分自身の創作活動の材料 (草木の飾り物など) になるイネを植えておきたい。
ノゲのきれいな古代米がよいだろう。

田んぼの面積は1瀬(1アール)。 いつも管理している田んぼ一枚の約1/10
機械は入れづらいとのことなので、人力で起こすことにした。
田んぼは、稲刈りが終わってから、特に何も手を入れていない状態。

だいぶ雑草も生えている。
それにしても、どうやってひっくり返そうかと考えこむ。
いつも機械に頼ってばかりいると、すぐに立ち往生してしまう。
とりあえず、闇雲にクワで掘ってみるが、やたらと疲れる。
これはとんでもない作業を始めてしまったのではと不安になってくる。
そんなとき、件のおじさんがタイミング良く通りがかる。
これはもう、やり方を聞いてくださいということだと都合よく解釈し、早速尋ねてみた。

『とにかく、田んぼの外周をまず切ってひっくり返す。そこから内側に向かって起こしていく。』
「なるほど。助かります。」
『クワは良く研いで、ズバズバ根っこが切れるようにしとく。絶対にまっすぐ入れるな。』
「今日は砥石を持ってきていないので、良く研いでおきます。」
『だとすっと疲れるな。とにかく雑草の根っこを良く切れ。掘ったらひっくり返して根っこを上向き
にする。根っこは念入りに切って、葉っぱは土に埋め込んでおかないとすぐに復活するぞ。』
その後は、例によって世間話を15分ほど聞く。これは、講釈をお願いした対価だろうか。

その後は教えに則り、ひたすらクワを打つ。刃物を研いでおくことがどれ程大切かが
理解できた。なまくらだと、根っこが切りづらく、力を浪費する。
それでも方法を聞いてからは作業速度が倍近くまで早くなった。
こんなことばかりしているから、通りがかる人には奇異の眼差しで見られているかもしれない。
けれど、人力作業は基礎中の基礎のはず。
機械を通すと伝わってきづらい、根っこの切れる感触、土をひっくり返す時の負荷・・・これを
体で覚えておけば、色々な発想や応用に結びつくいていく気がする。
向上を望むのなら、実践と実験。これは切っても切り離せないこと。
そのバランスを意識しながら物事を進めていこうか。


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