作業に出かける前、おじいさんはクワがガタガタになっているのに気が付いた。
速やかに、げんのうと釘で修繕。
この日は他にも、塩ビのパイプを火であぶって、動力散布機(肥料を撒く機械) のノズルの
欠けた部分を直したりしていた。

昔の人は、ものを大切にする。
生活の一部として、『修繕』 という作業があるというのはごく全うなことだと感じる。
けれど、全ての人がそれを実践するような世の中だったら、ひたすら物の消費を謳歌
することで経済が成立している現在の状況はどうなってしまうのだろう?
以前は、大手メーカーに勤めていたが、消費を促しつつ、エコを唱えることのジレンマに
気がつき、何年かの葛藤の末、私は農の道に向かうことになった。
繕って、寿命が尽きるまで物を使うことと、まだ使えるものを処分して、奨励金で新しい車
なんかを買うこと。一体どちらが賢明なのだろうか。
少なくとも、大事に物を使うことを褒めてくれるような世の中ではまだないのかもしれない。


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